また、個人消費を、その動向を左右するいくつかの大きな要因に分解してみても、今後の消費回復が見て取れる。図表4である。ここでは、個人消費の増減を「可処分所得」、「株価」、「燃料・電気水道費」、「住宅価格」の各要因と「その他」要因に分解してみた。
(図表4)日本:個人消費支出増減率の内訳
(注)前年同期比。燃料・電気水道は消費者物価ベース、消費支出は2人以上世帯(含む農林漁家世帯)、住宅価格(既存マンション、首都圏総合)は四半期先行
(出所)総務省、東証、日経より作成
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(注)前年同期比。燃料・電気水道は消費者物価ベース、消費支出は2人以上世帯(含む農林漁家世帯)、住宅価格(既存マンション、首都圏総合)は四半期先行
(出所)総務省、東証、日経より作成
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この図表4で分かるのは、株価が消費押し上げに効いており、足元の株高でふたたび消費を押し上げていると見られることである。また、一年遅れという時間差が見られるものの、住宅価格の回復も消費に好影響を与えている。
一方、原発事故後一貫して燃料・電気代が上昇して消費を下押ししている。また、可処分所得の伸びが鈍いこともあり、本来一番期待される所得増による消費増は大して発現していない。
主要要因ごとの消費への影響は異なるが、図表4で一目瞭然なのは「その他」要因の大きさである。当然、このことは数少ない要因では消費が説明しつくせないことを示しているが、同時に、昨年と今年それぞれの1-3月期での「その他」要因の大きさで分かるように、消費税引き上げがもたらした影響の大きさも分かる。
このことは、消費税要因が解消する4月以降、「その他」要因の大きな下押しが消滅することをも意味している。そして、可処分所得、株価、住宅価格がいずれも堅調に推移しており、消費を下押ししてきた燃料・電気代の下落幅も縮小している現状の動きに鑑みると、今後消費は押し上げられることになる。