2024年12月9日(月)

田部康喜のTV読本

2015年9月16日

 ドラマのなかで、探偵として玲奈が駆使する手法は、防犯カメラから逃れるために雲母を混入したスプレーを自分の顔にかけて反射を利用して、特定化されるのを避けたり、郵便受けの手紙類を抜き取って、公共料金の支払先に偽の電話をかけて人物を特定したり、探偵の違法ともいえる手法が出てくる。

 小説ではさらに過激な手法がいくつも出てくるが、ドラマでは公序良俗の関係からギリギリの線であるが、ドラマの緊張感を十分に高めている。

 玲奈と警部補の窪塚は、女性たちの救出に成功するが、窪塚はハングレのひとりにナイフで刺されて死ぬ。

 玲奈がハングレに追われて、窪塚の家にかくまわれた時に、小学1年の窪塚の娘と授業参観に行くことを約束する。窪塚が死んだあと、玲奈はその娘の教室に現れる。

 妹を死に追いやった「死神」を探すために、感情を押し殺している玲奈の心のなかに、暖かい血が流れている瞬間を、ドラマが描く時、北川の演技はさらに深まっていく。

 第10話(9月10日)に至って、ついに「死神」はその姿を玲奈の前に現わした。DVシェルターから救い出した市村凛(門脇麦)が、再び夫に追われているのをかくまったのだったが、それは凛の罠だった。門脇麦は、連続テレビ小説「まれ」で希(土屋太鳳)の友人役を演じる。映画では多彩な演技を見せる注目株であり、凛役の狂気を秘めた演技もまた驚かせる。

 凛こそ、探偵としてDV被害者の身元を洗い出した張本人であった。そして、玲奈の妹の咲良を死に追いやった探偵なのだった。

 最終回で玲奈は、本望を遂げることができるだろうか。そして、彼女の人生はどうなるのだろうか。

  
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