2024年11月25日(月)

Wedge REPORT

2009年10月6日

 アフターサービス体制の構築で先行するのがコマツ。同社は今年4月、セネガルの首都・ダカールに現地要員用のトレーニングセンターとサポートセンターを開設した。特徴はフィリピンのマニラの人材開発センターで、サポート要員を養成していることだ。「英語圏の人材を活用することによって、(世界的に不足気味の)サポート要員を確保するのが狙い」(橋本由浩アフリカグループ営業担当部長)だ。

 発電所建設など社会インフラ需要を目指して、重電や重工メーカーも動きを強めている。日立製作所は07、08年に、南アの国営電力会社「エスコム」から2カ所の新設発電所向けに出力80万キロワットの石炭だきボイラ、12缶を連続受注した。受注額は6000億円に上り、同社ではこれを機に電力不足が続く南部アフリカでの重電ビジネスを本格化させる。さらにアフリカ市場進出では出遅れ感のある三菱重工業も6月、南アのヨハネスブルクに駐在員事務所を開設、本格的な業務をスタートさせた。

中国・欧州勢とは
ここが違う

 日本企業のサブサハラビジネスの課題は、ライバルとの競争。筆頭が中国だ。資源確保が国是の中国の対アフリカビジネスの特徴は「安い、早い」。社内手続きなど手順が必要なため、「土俵には上がるが、塩をまいて帰るだけ」(建機業界関係者)と揶揄される日本企業をよそに、一気呵成に攻めてくる。道路建設などのプロジェクトでは、大量の労働者を本国から送り込む。そこでは中国人経営の商店なども出現、中国人社会が誕生することも多々あるようだ。政府も北京―アンゴラ直行便を開設するなど「アフリカでの存在感は日本の数倍」(平野氏)と言われる。

 植民地時代の宗主国であった欧州勢には歴史に裏打ちされた人脈や商流ネットワークなど強みがある。中でも金融界では「欧州系の金融機関が幅をきかせ、(後発の日本勢は)このシステムを利用せざるを得ない」と関係者は話す。

 こうした他国の動きに、日本勢はどう対処すべきか。実は中国のアフリカビジネスには、地元にお金が落ちない上、稲に群がるイナゴのごとき収奪ぶりだとの非難が絶えない。欧州勢にも、植民地時代の搾取構造を残しているとの声が聞こえる。

 一方の日本政府は昨年、横浜で開催された第4回アフリカ開発会議(TICAD Ⅳ)で、ODAや無償技術協力の拡大を約束した。そして日本企業も、先述のようにCSRをベースにした企業活動を展開している。持続性あるビジネスモデル、これこそが、アジアでも成功を収めたように、中期的には軍配の上がるアプローチではないだろうか。

◆「WEDGE」2009年10月号

 

 
 

 

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