2024年4月20日(土)

田部康喜のTV読本

2015年11月6日

 モデル出身の女優である菜々緒が、殺人を犯すことにも躊躇しない反社会的な人格(サイコパス)を演じる、「サイレーン」(フジ系・火曜夜10時)が中盤にさしかかろうとしている。

 サブタイトルは、「刑事×彼女×完全悪女」である。警視庁機動捜査隊の刑事・里見偲(さとみ・しのぶ)役に松坂桃李、その里見と半ば同棲状態にある同僚の猪熊夕貴(いのくま・ゆき)役に木村文乃。

 ふたりが追っているのは、連続殺人事件の犯人である菜々緒が演じる橘カラ(たちばな・から)である。彼女はキャバクラで働いている。

 カラは夕貴と友人関係に持ち込むことに成功して、里見と夕貴の恋人の間に、自分に対する信頼感の微妙なずれを生じさせる。キャバクラ嬢が閉店後の店で自殺を図ったかのようにみえる現場で、カラと出会った里見は直観的に疑惑を深めていく。

 連続殺人事件は、まるでカラの日常生活のなにげない行動のように繰り返されていく。第一の殺人事件は、女性を狙って繰り返すタクシー運転手だった。

 乗客の女性に社内が寒いので白ソックスをはくことを勧めて、殺す手口を繰り返す運転手を板尾創路が怪演している。

 カラは運転手役の板尾によって、いったんは首吊りを装って殺されそうになるが、両足で板尾を強く締め上げて態勢を入れ替える。そして、板尾を首吊りにする。

 惨劇は土砂降りの雨のなかで繰り広げられる。

悪役がハマる菜々緒の魅力

 菜々緒には悪女の魅力がある。バラエティー番組のなかでみせる明るい性格とは、対照的な悪女の演技は美貌と長身なスタイルに支えられて、悪が悪ではないような感覚すら抱かせる。観客は悪女に感情移入させられる。


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