沢尻エリカ主演で、ファッション業界を舞台にした「ファーストクラス」(フジ・2014年)では、腹黒い雑誌編集部員などを演じた。笑顔も苦笑もそして無表情も、すべてが作られた顔を好演した。
今回のドラマの菜々緒の悪女の魅力は、猪熊夕貴(木村文乃)と打ち解けて、スカッシュをやったり、格闘技を見に行ったりする行為と、陰惨な殺人事件をいとも簡単に犯すふたつの顔を巧みに演じていることにある。
第3話(11月3日)に至って、連続殺人事件はその輪郭を明らかにしつつある。
カラは整形外科医の月本圭(要潤)がオーナーをしている秘密クラブの売買春に絡んでいた。埼玉から家出した16歳の少女を、両親に相談なく整形手術を受けることができることで巧みに誘って、月本のもとに手渡した。
秘密クラブに潜入捜査した里見(松坂桃李)によって、売買春は大人ばかりか少女にまで及んでいることがわかる。
里見によって捜査の手が秘密クラブに及ぼうとした瞬間、秘密クラブの入り口に近いビルの防犯カメラの映像分析によって、警視庁の幹部も利用していることがわかる。捜査は中止となる。
結果として、里見の捜査をつぶしたのは、映像分析を手がけた刑事の速水翔(北山宏光)だった。速水は激しいライバル心を里見に燃やしている。若手ふたり俳優の演技のぶつかり合いもまた、このドラマのひとつの見どころである。
サイコパスであるカラがいま、執着しているのは、里見の恋人である猪熊夕貴(木村文乃)である。捜査の車両の下に位置情報を発信する機器をつけて、その移動を追っている。
さらには、里見と夕貴が半同棲状態にあるマンションの一室がみえる、デザイナーの渡公平(光石研)の部屋に同居までするようになる。