2024年11月22日(金)

母子手帳が世界を変える

2015年12月10日

 

世界情勢に受け身だった多くの日本人

 これまで日本人は、総じて世界情勢を与えられこそすれ、決して自分たちの努力では変えることのできないものとして捉えてきた。多くの時間と労力を、受動的に順応するために費やしてきた。しかし、母子手帳を活用してうねりを引き起こそうとしている人たちは、自分たち自身が動き、日本と世界中の心ある人々に理解と協働を訴えかけ続けて行けば、必ず、615万人の不必要な死は、防ぐことができると信じ、ムーブメント(運動)を引き起こそうとしている。

世界に広がる母子手帳

 燎原の火の如く、そのムーブメントが広がるか、泡沫の夢に終わるか? それを知るうえで、2016年は大きな意味を持つ。G7では日本が議長国を務める。日本が主導してきたTICAD(アフリカ開発のための国際会議)がナイロビで開催される。

 その前哨戦として、2015年の12月16日には、マーガレット・チャンWHO(世界保健機構)事務局長、ジム・ヨン・キム世界銀行総裁に加えて、ビル・ゲイツ氏も参加する国際保健の会議が東京で開催され、ケニアやタイなどからも要人を招致し、「万人のための保健サービス」(UHC)に向けてのこれからの道筋について議論がなされる。

 これらの機会に、日本の経験と強みを活かしたアイデアやメッセージがどこまで発信されるかが注目されるところである。さらに、2016年11月23日には、これらの一連の会議の成果を承継しつつ、第10回母子手帳国際会議が東京で開催されることがすでに決まっている。母子を含む人々の命が、一つでも多く救われるために試みられてきたたくさんの実践や、そこからの学びが可視化され、素晴らしい成果が世界の各地で拡大再生産されていることを加速するための場である。

 以下の連載では、母子手帳をグローバルに展開し活用するために、これまで、日本人が、世界の各地でどのようなうねりを引き起こしてきたか、という点について振り返る。これからの世界を、未来を、私たちの力で、どこまで変えることができるかについて見通しをつけるための一助としたい。また、これらの可視化を通じて、より多くの人々が、ムーブメントに参画してくれることを切望する。

  
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