2024年4月20日(土)

ドローン・ジャーナリズム

2015年12月9日

 史実によれば、1890年9月16日の夜半、樫野埼の岩礁地帯にてエルトゥールル号が沈没したとある。現場は「船強羅」と呼ばれ、古くから海の難所として日本では有名な場所だった。4Kドローンで撮影した、冒頭の部分がそれである。

 台風の中を航行中だったエルトゥールル号は強風にあおられここで座礁し、船体は引き裂かれ乗員は皆、嵐の海に投げ出された。樫野埼灯台下に漂着した生き残った船員10名が灯台の灯りを頼りに40メートルもの断崖をよじ登り、灯台守に助けを求めたとのことだ。この樫野埼灯台は明治3年に点灯した日本最古の石造り灯台である。

自らの命も危険にさらすような懸命の救助

 現代とは違い、当時は灯台守りが常駐をしていた。動画を見てもわかるように、灯台下の断崖は険しい。ここを必死によじ登った船員たちの苦しみを思うと胸が痛む。また、串本の村人たちは、崖下のものを助けるために自ら崖を下り、怪我人を背負い、体に縄をくくりつけて上から引っ張り上げるなど、自らの命も危険にさらすような懸命の救助を行ったという。

 樫野埼灯台の手前には、トルコ記念館という建物があり、この海難事故の資料や引き上げられた遺物、また、日本とトルコとの関係についての展示がされている。樫野埼を訪れたらぜひ入館されることをお勧めしたい。


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