日本のハイテク産業が必要とする紛争鉱物を巡る戦略
さて、今回の鉱業セミナーは2011年から当時の経済産業省の安永裕幸元鉱業課長とJOGMECとともに計画したものである。当時は資源危機の最中であり、経産省(JOGMEC)がボツワナにおける地質調査(リモートセンシング)を始めた時期であったがアフリカの資源国に日本が世界有数のレアメタル需要国であることを理解して貰う必要があった。
特に中国のレアアースの輸出禁止が問題視されていたためにレアメタル資源の安定供給にはアフリカが重要であるという認識は一致していた。ところが、資源大国中国は、10年ほど前からアフリカの資源確保に躍起になっているために、日本のハイテク産業としてもタンタルやタングステンや錫の直接ルートを確保しなければならない戦略が必要となってきたのだ。
その意味でも日本政府としても民間活力を利用したアフリカ諸国への情報活動も必要になっていたのである。日本はアフリカ開発会議(TICAD)などを通じて、2013年にも横浜で第5回アフリカ会議を行ってはいるが、どちらかといえば現場主義ではなく空回りの印象を持つアフリカ人も多いようだ。率直にいえば、ルワンダ側から見ると、日本よりも中国や欧米の方が積極的な貿易相手国であり、日本の重要性に対する意識は少なかったのである。
そんなことで資源セミナーには果たして何人の出席者が興味を持って参加してくれるのかは予測がつかなかった。
資源セミナーの当日が
突然、大統領任期更新の国民投票日に
さらに加えて、偶然ながら鉱業セミナー開催日の当日が大統領再選の可否を問う国民選挙の日に当たった。ルワンダの将来を決定づける重要な国民選挙であるから金曜日ではあったが休日になっていた。
数カ月前から用意していた鉱業セミナーの日程がわずか10日前に決定した大統領再選の国民投票の休日になるとは計算外だったが、仕方のないことである。鉱業セミナー参加者の出席が危ぶまれたが、その心配は杞憂に終わり、インビテーションを出した鉱業大臣を始めとする政府要人と鉱業関係者はほぼ全員が参加してくれた。
日本アフリカ友好議員連盟の三原朝彦議員と山際大志郎議員も来賓として特別参加を頂いたうえに在キガリ日本大使館やJICAからもからも参加いただき盛況な鉱業セミナーとなった。