紛争鉱物の光と影
ルワンダやコンゴを始め、ブルンジ、ウガンダ、タンザニアなどの周辺国(10ヵ国)には、タンタルやタングステンや錫などのハイテク資源が多く採れる。タンタルはスマホに使う小型コンデンサや光学ガラス添加材に、タングステンは自動車産業用の切削工具材料に錫は、電子工業の集積回路や薄膜材料の用途に不可欠な材料である。
これらの紛争鉱物がコンゴ紛争の原因ともなっており武装勢力が資金源としている鉱山を管理する事が重要となっている。特に2010年から米国金融規制改革法(ドット・フランク法)により、紛争鉱物の使用の報告の有無が義務付けられたために米国のみならず世界中で紛争鉱物のトレーサビリティーのチェックが必要になった訳である。なぜ米国の上場企業がアフリカの紛争と関係があるのかといえば、米国が進めている人権の尊重(子供の強制労働など)や武装勢力やテロリストへの資金源を絶つことが目的になっているのだ。
テーブルファイヤーの好きな欧米資本
アフリカ支配に出遅れた米国が金融規制改革法をテコにルワンダ進出を狙っているという見方がある。アフリカの子供がわざと人の靴に泥をかけて、仲間の靴磨きの子供がすり寄ってくるという伝統的な手法と同様である。
自作自演の架空の火事を起こして保険金をせしめるというクラシックな手法にも似ているのが、コンフリクトミネラルが反政府軍やテロリストの裏金になっているというのは、作り話(フィクション)だという人も多い。
タンタルもタングステンも錫も市況の値下がりで大した利益も出ないから武装勢力はわざわざ儲からないコンフリクトミネラルを手間暇かけて扱うとは思えない。子供が鉱山現場で不法労働に従事しているのも私は未だ見たことはない。
実はアフリカ諸国にとって米国の金融法などは何の関係もないので「はた迷惑」な話である。逆に鉱山から製錬段階までの流通経路を証明するためにはコストがかかるだけで何のメリットもないのだ。事実、流通段階におけるタグシステム(鉱山の生産ロット毎にタグをつける管理法)を誘導するのは先進国からの監査組織であり、コストは鉱山や選鉱工場が負担しているのだ。さらに手間暇をかけてコストのかかった分は当然ながら販売価格に転嫁されるだけの話である。
欧米の監査法人は人権問題やテロリストへの資金源の遮断を言い訳に「上から目線」で資源国を支配するような話である。アフリカ諸国の貧困を救済するというお題目をいうなら、欧米諸国が高い経費で流通の管理をするなどは止めて、その経費を貧困層に還元した方が話は早いという見方もある。