世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2016年1月21日

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ロシアの長期的衰退は不可避か

 このフィナンシャル・タイムズ紙の社説は、ロシアについて多くの人が考えている常識的な見方を表明しています。

 上記社説は、ロシアが基本的改革を2018年まで先延ばしせず、今すぐ取り組まないと長期停滞になるのではないかと言っていますが、その通りでしょう。

 ただ、大統領選挙を控えて、そういう改革に乗り出せるか、極めて悲観的にならざるを得ません。したがって、ロシアの長期的衰退は不可避ではないかと思います。石油価格が高く、余裕のある時に、資源依存体質の改革をすべきでありましたが、諸般の事情で出来なかったのに、今出来るはずがありません。そして、石油価格は、シェールやイラン石油などでここしばらくは低いままでしょう。

 ロシアは、国際政治でいう「資源の呪い(資源国では資源開発で暴利を得られるので、製造業が育たず、いびつな経済しか作れない)」にかかった国です。プーチンは、それを変える努力もしましたが、その権益網の一部になってしまった面があります。

 ロシアが影響力を増していることを国民に示し、国民の支持を得るのが今のプーチンのやり方ですが、これにはお金がかかりますし、また危険を引き寄せる面があります。シナイ半島でのISによるロシア旅客機爆破、トルコによるロシア軍機撃墜は、対外冒険のコストの始まりでしょう。シリア介入が泥沼化する危険も、モスクワでのテロの危険もあります。

 プーチンの任期は、2018年まであり、2018年に再選されれば、2024年まで大統領です。それを実現するために、プーチンは改革先送り、対外冒険主義を実施していますが、それが裏目に出て、経済困難に伴う国民の不満に直面することが十分にあり得ます。

 プーチン政権の2024年までの継続を与件として考えることは間違いにつながりかねません。ロシアでは欧化主義者とスラブ主義者が交代しながら、政権を担ってきた歴史があります。今でも欧米とうまくやっていくことがロシアにとって良いとの意見は多いです。そろそろ欧化主義者の出番が来ているようにも思われます。

 なお、IMF推計で、2015年ロシアのGDPは1兆2358億ドル、日本のGDPは4兆1162億ドルです。

  
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