昨年のアカデミー賞授賞式で、ジョージ・クルーニーを含む複数の俳優が「会場が真っ白」などと、米映画界が未だ白人至上主義であることをジョークを交えて批判した。しかし、その傾向は今年も変わらず、主演、助演男優、女優賞にノミネートされたのがすべて白人だったことが、批判の的となっている。
ジョークで済んだ昨年とは違い、今年は複数の授賞式ボイコットに発展しそうな勢いだ。その口火を切ったのが、スパイク・リー監督。リー監督は昨年11月にオスカーの特別功労賞である「ガバナーズ・アワード」を受け、授賞式に出席予定だった。
だがガバナーズ・アワードの受賞スピーチの中で、リー監督は「人種の広範性について語るのにはもう飽きた、でも必要なんだ」と語った。受賞のプレゼンテーターを務めたのはサミュエル・ジャクソン、ウェズリー・スナイパー、デンゼル・ワシントンという黒人スター3人組。彼らは「リー監督が黒人、ヒスパニックなど多くのスターを映画に使うことで世に送り出した」とその功績を讃えた。
現実の米社会の人種構成を反映していない
リー監督は以前からハリウッド映画界の重鎮に黒人がほとんどいないこと、映画の世界が「現実の米社会の人種構成を反映していないこと」を批判し続けてきた。監督によると「黒人が映画スタジオのトップになるのは、合衆国大統領になるより難しい」という。
これを踏まえ、昨年に続いて主演、助演俳優ノミネーションがほとんど白人に集中したことから、リー監督はアカデミー賞授賞式への出席をボイコットする、と宣言した。SNS上で「すべての友人、式典のホストであるクリス・ロック、プロデューサーのレジー・ハドリン、アカデミーのアイザック会長、アカデミーそのものを尊敬していないわけではない。しかし、2年連続して俳優部門のノミネーション20人全員が白人というのはいかがなものか。2年で40人の白人のみがノミネートされることに誰も疑問を覚えないのか。黒人は演技できないとでもいうのか」と書き、ノミネーションの不透明さを訴えた。