2024年7月16日(火)

World Energy Watch

2016年2月9日

抑制される火力発電設備導入量

 CO2濃度を450PPMに抑制するために必要な将来の電源構成については、国際エネルギー機関(IEA)が予測を行っている。2013年との比較では発電部門での2030年時点のCO2排出量は47%減と予測されており、その達成のために必要な発電量と電源別シェアは、表-2の通りだ。

 2013年の世界の電力消費量は石油換算で16億7700万トンだった。その発電の内訳は図の通りであり、石炭を中心に化石燃料が67.4%を占めている。

 世界で石炭を最も多く使用している国は中国であり、世界の石炭火力発電所からの発電量9兆6330億kWhのうち、4兆1110億kWhを占めている。この石炭火力が中国を世界一のCO2排出国に押し上げている大きな理由だ。

 石油を利用する火力の発電シェアは減少しているが、世界で最も多く石油による発電を行っている国は日本、天然ガスによる発電1位は米国だ。表-3の通り、化石燃料による発電上位5カ国には全て原発停止の影響を受けた日本がランクインしている。この火力発電からの発電量を今後抑制することが必要とされる。

気候変動対策にはどれだけの設備投資額が必要なのか

 今後、新興国を中心に2030年に向けて電力消費量が成長するなかで、火力発電所からの供給量を抑制し、さらには削減する一方、風力、太陽光などの再エネと原子力発電設備からの供給を増加させることが必要になる。火力発電設備との比較では、再エネ設備も原子力も操業コストが安いが、設備投資額は大きくなる。例えば、IEAは450PPM達成のための原子力発電設備導入を表-4の通り予測している。2040年に向けて5億kW以上の原子力発電設備が導入されるが、いま原子力発電設備の建設コストは欧州で1kW当たり6000米ドル(72万円)、米国で5000ドル、中国で3000ドルと言われている。


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