2024年11月22日(金)

古希バックパッカー海外放浪記

2016年4月17日

MBA女子と毎晩ビールを飲みながら討論会

 11月14日 夕暮れ時になると高台を散策して昨夕と同じゲストハウスで夕陽を見ながらビールを飲んだ。古びたソファや調度品に囲まれ、なにかアットホームな雰囲気である。ゲストハウスは女将の実家であるが、アラサーの女将は離婚して一人娘を連れて実家に戻りゲストハウスを切り盛りするようになったとのこと。女将の話では一昔前はベトナムでは離婚率は極めて低く数パーセントであったが現在では離婚は年々急増していると。ベトナムも経済成長の過程で都市化、都市文化の伝播、教育の普及により急速に旧来の共同体の規範や束縛が薄れているのであろう。女将は「つまらない男に一生を台無しにされるなんて馬鹿げている」と気炎を上げる。

 2本目のビールを飲んでいるとティーンが階上の部屋から降りてきた。彼女が持参したバナナの葉っぱの粽(ちまき)を一緒に食べた。ワークライフバランスの話をしていたら彼女は「大きな組織で働くと忙しくて自分の自由な時間が少なく仕事中心の生活になってしまう。だからサラリーがちょっと少なくても、自由に働けて私生活もエンジョイできる小規模な組織がいいと思うんだけど」と私の意見を求めてきた。このような誤解・幻想を多くの若者から聞いたことがある。

ビスマルク曰く『ビールはイギリス産業革命の原動力であった』

 「それは全くの誤解だ。世界的な著名企業であれば人事制度が公正で労働時間管理が厳格だ。そうした企業では目標が明確で効率的に働いて期限内に成果を出すことが求められる。成果に対する報酬も公正に判定される。逆に小さな会社や組織では役割分担や責任体制も不明確。人事制度や時間管理もえてして曖昧だ。毎日無制限に残業させられて、それに見合う報酬も保証されないという事例も多いと聞く」と持論を述べたがティーンは簡単には納得しない。知的好奇心旺盛で次から次へと質問が。こういう議論をしていると自分の認識も深まり楽しくなってくる。

 結局翌日も翌々日も私が夕刻ビールを飲んでいるとティーンが食べ物を携えてやってきて毎晩遅くまで白熱討論会となった。楽しく真剣な議論ができる幸せを満喫したダラットの夕べであった。

 ⇒第10回に続く

  
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