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2016年2月23日

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中西 享 (なかにし・とおる)

経済ジャーナリスト

1948年岡山県生まれ。72年共同通信社に入社。88年から91年までニューヨーク特派員、経済分野を取材し、編集委員を経て2010年に退社。現在は経済ジャーナリスト。著書は「ジャパンマネーの奔流―ニューヨーク・東京・ロンドンの24時間」(1987年、ダイヤモンド社)、「日本買い 外資は何を狙っているか」(2005年、PHP研究所)など。

 志賀会長は日産のCEO時代にフォークリフト業界8位だった日産フォークリフトと同9位だった日立建機のフォークリフト事業を統合させた経験がある。その後さらにTCMなどとも統合させて、結果的には業界3位のグローバル競争力のある企業を誕生させることができた。もし統合せずに8位のままでいたら、利益の出ない熾烈な競争を繰り返すだけに終わっていただろうという。

 日本の企業の場合、再編・統合するのは業績が悪くなり救済的に行われるケースが多い。健康体の時に不採算部門を売却したり統合を行おうとすると「業績が悪くない時にどうしてそのようなことをするのか」といった反対論が必ず起こる。しかし、志賀会長は「日本の経営者としてはやりずらいが、不採算部門が長年、放置されているようなことがあれば統合、売却して事業を新しいものに組み換えていかなければならない。欧米ではこうしたオープンイノベーションをルール化してやろうとしている」と指摘する。

シャープ支援は革新機構がベストの案

 台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業か産業革新機構のどちらを選ぶか、支援先の企業探しが大詰めに来ているシャープへの支援については「3000億円の支援資金を出す案に上乗せすることはしない。これがベストの案で、株主、従業員の皆さんにとって良い案になっている。あとは開催されるシャープの臨時取締役会での判断を待つしかない。天命を待つ気分だ」と話した。

 シャープの支援をめぐっては、鴻海の郭台銘会長が1月に来日、総額7000億円規模の支援案を提示して優先的に交渉しようとしている。現時点では鴻海案を中心に協議が続けられているようだが、20日にはシャープの取締役会で両案を比較検討し、24日にも取締役会を予定しており、月内にはどちらの案を選ぶか決まる。

 志賀会長は「2つの案はコンセプトが全く違う。鴻海の案はシャープ全体の事業を再生させようというものだが、革新機構の案は液晶の事業を切り出しジャパンディスプレイ(JDI)の液晶事業と統合させようというものだ。今回の件でシャープの技術流出を止めるような要請を受けたことはなく、そういうことは全く考えていない」と述べた。

 液晶の分野については「これからはあらゆる分野に液晶が使われるようになり、特に中小型の分野には大いに期待している。中国に液晶の工場ができるから、日本は液晶では負けるといわれているが、守りに入っては駄目でグローバル競争に勝つために再編を行って行かなければならない」とした。

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