続けて図2を見てみよう。
これは、金星を望遠鏡で見たスケッチであるが、満月形と半月形の中間の形といえるだろう。ここで再び図3をみてみよう。地球、太陽、金星の位置関係からすれば、イの方がより満月形に近く、ウの方がより半月形に近くなる。
図2は、満月形と半月形の中間の形なので、イもウも該当するが、どちらかと言えば、かなり満月形に近い印象のスケッチであり、どちらか一つを選べと言われれば、私なら「イ」を選ぶだろう。
つまり、図1からは「ウ」、図2からは「イ」を選ぶことになってしまい矛盾が生じている。
図1は肉眼で観察したスケッチであり、図2は望遠鏡の性能によってはぼやけていたかもしれないスケッチである。どちらか一つを選べと言われれば、私ならば、肉眼で観察された図1の方がより正確と考えて、「ウ」と解答するだろう。
しかし、この設問では「イ」も×にはできず、「イ」と「ウ」の両方を正解にすべきである。
ところが、都教委は、「イ」と解答した生徒には○で4点、「ウ」と解答した生徒には×で0点、として採点をして、合否判定をしてしまっているのである。
なぜ都教委は間違ったのか
なぜ、このようなはっきりしない設問になってしまったのか。その理由としては以下のようなことが考えられる。
実はこの設問は、フィクションではなくノンフィクションの形態をとっている。平成27年3月24日という日付を明記し、その日の実際の惑星の位置についての設問としているのである。そして、当日の金星の実際の位置を調べてみると「ウ」の位置だった。だから、解答が「ウ」となるように設問が作られるのが健全だったはずである。