野嶋剛が読み解くアジア最新事情

2016年3月10日

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野嶋 剛 (のじま・つよし)

ジャーナリスト

1968年生れ。ジャーナリスト。上智大学新聞学科卒。大学在学中に香港中文大学に留学。92年朝日新聞社入社後、佐賀支局、中国・アモイ大学留学、西部社会部を経て、シンガポール支局長や台北支局長として中国や台湾、アジア関連の報道に携わる。2016年4月からフリーに。著書に『イラク戦争従軍記』(朝日新聞社)、『ふたつの故宮博物院』(新潮選書)、『謎の名画・清明上河図』(勉誠出版)、『銀輪の巨人ジャイアント』(東洋経済新報社)、『ラスト・バタリオン 蒋介石と日本軍人たち』(講談社)、『認識・TAIWAN・電影 映画で知る台湾』(明石書店)、『台湾とは何か』(ちくま新書)。訳書に『チャイニーズ・ライフ』(明石書店)。最新刊は『タイワニーズ 故郷喪失者の物語』(小学館)。公式HPは https://nojimatsuyoshi.com

 「天下雑誌」などと比べて、「今周刊」はシャープの買収については、比較的好意をもって紹介しており、シャープの製品のなかで、利益を生むもの、生まないものを子細に分析した。そのなかで「液晶パネル」「オフィス設備」「家電」などは利益を生むもの、「ロボット」「液晶テレビ」「台所家電」「ソーラーパネル」「ラップトップPC」などは利益を生み出さない問題商品だとしている。

経済問題として冷静にとらえる

 こうして台湾の報道を見ていて感じるのは、総じていえば、台湾側はこのホンハイによるシャープの買収について、一つの経済ニュースとして受け止めているということだ。日本人のシャープという企業に対する時代的な感傷や、シャープの社内事情などには、当然かもしれないが、そこまで強い興味を持っていない。また、海外企業に買収されるということに対する日本人のアレルギー感もあまり気にしていない。

 これは、企業間買収が活発な台湾において、人々が比較的買収という経済行為に慣れていることも関係しているだろう。日本においてシャープ問題は日本人のプライドなど一種の文化的問題も含んでいるニュアンスが目立つが、台湾では経済問題として買収のメリットとデメリット、コストなどについて日本以上に詳しく報道しようという姿勢が強いことが特に印象に残った。

  
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