マスタード・ガス
この少年兵の自爆テロ作戦以上に最近、米国が懸念しているのがISの化学兵器の使用だ。ISはすでに昨年イラクとシリアで複数回にわたって化学兵器のマスタード・ガスを使ったことが分かっているが、そうでなくても戦況で劣勢にあるISがさらに追い詰められれば、同様の毒ガスを使うことが必至とみられているからだ。
米メディアなどによると、イラクに新たに投入された米特殊作戦部隊「デルタ・フォース」は2月、スレイマン・アファリというISの化学兵器部門のトップの男をイラク北部で拘束した。アファリは旧サダム・フセイン政権時代、生物・化学兵器を専門に扱う軍需産業で働いていた技術者で、現在、北部のクルド自治区の首都アルビルで尋問を受けている。
アファリはISがマスタード・ガスを粉末状にして砲弾に詰め込み、化学兵器を製造している実態などを供述しているもようだ。マスタード・ガスは皮膚や気道、目などにやけどのような症状を引き起こす毒ガス。すぐに死に至ることはないが、皮膚のびらんやおう吐など深刻な体調不良に陥る危険性がある。
米CNNは9日、米軍がイラク北部モスル近郊にあるISの化学兵器施設を空爆したと報じた。この作戦はアファリからの情報に基づくものとされる。こうした兵器工場はイラクとシリアに複数あると見られており、すでに大量の化学兵器が前線に配備されている可能性もある。
ISと戦っているイラク軍やクルド人武装勢力は防護服など化学兵器戦の備えはほとんどできておらず、米軍は毒ガスという新たな難題に頭を抱えている。
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