3月15日に投票されるイリノイ州、オハイオ州はミシガン州に人口構成などが似通っているので、この両州でサンダースが事前の予想を覆してクリントンに勝てば、今後の予備選にも大きな影響を与えることになりそうだ。サンダースが思いのほか支持を伸ばしていることから、クリントンもサンダースの支持者取り込みのためエネルギー・環境政策を変えてきている。
自称社会主義者のサンダースは、カナダからのパイプライン、キーストーンXLプロジェクトには無論反対し、シェールガス・オイルの採掘に用いられるフラッキング(爆砕法)にも原子力発電にも反対している。米国の大統領候補としては極めて異例と呼べるエネルギー政策を打ち出しているサンダースをクリントンも意識し始めている。
シェールガスにも原子力発電にも反対のサンダース
サンダースは、オバマ大統領が進めている火力発電所からの二酸化炭素排出量を抑制するクリーンパワープランについては次のように述べている。「気候変動問題は我々が直面する地球的危機であることを、大統領は分かっている。エネルギーシステムを変革するため大胆に行動すべきだ。大統領が行ってきたことを大きく前進させる基盤を民主党の大統領候補は提案すべきだ」。
再生可能エネルギーについては、推進すべきとの立場であり、2年前には風力発電への税額控除延長の請願を22人の上院議員と共に行っている。大統領になった際の再エネ政策については次のように述べている。「太陽光、風力、地熱のクリーンで持続可能なエネルギーに投資する。技術開発とその実用化にも持続的かつ多額の投資を行う」。
キーストーンパイプラインプロジェクトについては当然反対だが、気候変動問題と共に、石油会社が更に収益を上げることがあってはならないことも反対の理由に挙げている。炭素税導入の収入により再エネ、住宅・ビルの断熱設備に投資し、自動車への依存を変えるため鉄道に巨額の投資を行う政策も打ち出している。