①多額の取材謝礼を支払っている
のっけからカネの話で恐縮だが、この誤解に対してはきちんと言っておきたい。文春がなぜ強いのかと書いたネット記事のなかにこう書いているものがあったからだ。
文春にかぎらず週刊誌はネタ元に対して多額の謝礼を支払っているとのイメージが世間では強いようだ。なかでも文春は他社よりも高額であると。だから、多くのネタが集まってくるのだという理屈だ。
私が知るかぎり、かつてある大手出版社の某週刊誌が大物芸能人と暴力団幹部が一緒に写った写真を入手するのに、百万円を超える謝礼を払ったことがある。担当編集者にオリジナルの写真を見せてもらいながらその額を教えてもらった時に、驚いた記憶がある。
ただし、これは今ではかなりレアなケースだと思う。第一、ネタをカネで買ってくれと言ってくるような人物は信用ならないことが多い。カネ欲しさに話をでっち上げるようなことだってするからだ。
かつてインタビューを受けてくれた相手から多額の報酬を請求されたことがあったが、きっぱり断ったことがある。そんな額、どうやっても経理の担当者が認めるわけがないし、そもそもインタビューが掲載されることであなたが主張したいことが一般読者にも伝わることになり、あなたにとってもプラスの影響が出るはずだ、そう説明した。相手も最後は納得してくれた(と思う)。繰り返しになるが、多額の取材謝礼を支払うなんてあり得ない。多くは我々記者が足で稼いだ成果だ。