美術館の人によると、来館者は年間10万人。庭園だけ利用する人も含めると20万人以上。ゴールデンウィークには300台入る駐車場がいっぱいになった上、県道に列ができるというから大変な人気だ。
そもそもはDICの研究所を近くに建てた。そのとき公害を心配する声が地元から上り、その不安を払拭するために、まずは環境を整備し、市民に無料開放する庭園造りに力を入れた。その一環として川村家のコレクションを並べる美術館を建てた。来館者はせいぜい月に100人くらい来てもらえるか、と思っていたが、蓋を開けたら1日に100人以上が来るので驚いた。しかもリピーターが多いので、毎回同じでは申し訳ないと、企画展もやるようになった。
じつに幸運な美術館である。ご先祖様に、よほどの功徳を積んだ方でもいらしたのか。もとは等伯の屏風「烏鷺図〔うろず〕」からはじまったコレクションだが、現代美術に対してもとまどいはない。ふと思った。現代美術の、とくに抽象絵画は、色見本帖に似ている。
【川村記念美術館】
〈住〉 千葉県佐倉市坂戸631 〈電〉0120(498)130
http://kawamura-museum.dic.co.jp/
DIC株式会社の収集した美術品を公開するため1990年に開館。コレクションは主に第2代社長の川村勝巳氏と、第3代社長の川村茂邦氏(1928~99年)による。初代館長も勝巳氏。設計は勝巳氏の中学時代からの知己でDICの本社ビルや工場なども手がけた海老原一郎氏(1905~90年)だが、完成を見ることなく逝去した。館内には抹茶とお菓子を供する茶室もある(600円、10:30~16:30)。
レストラン「ベルヴェデーレ」〔℡043(498)0848、9:30~L.O.17:00〕の経営は別。京成佐倉駅とJR佐倉駅からシャトルバスが運行。
〈開〉9時30分~17時(入館は16時30分まで)
〈休〉月曜(祝日の場合はその直後の平日)、年末年始(12月25日~1月1日)、展示替え期間
〈料〉
一般900円~ 大学生・65歳以上700円~ 小・中・高校生500円~
*展示内容によって変更あり
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