「けったいな会社」サベサとシャープ
現在のベルギー警察のようにフランス語とオランダ語の二系統のグループの闘争がサベナ内部で常態化し、最終的には不効率と不思議経営がまん延し破たんしてしまったのだ。たとえば、同族経営そのものは利点も多いが、隠れた同族企業シャープの場合は、その悪い部分は突出し、破たんしたと見える。シャープ最後の社長が、「うちはけったいな会社だ」といったそうだが、サベナの末期は同様に「けったい」であった。
国際的な会社としては給料が安いので、社員にガソリン代でその差額を補するなど朝飯まえだった。パンナムと同様に、乗務員はお帰りにシャンペンとキャビアはお持ち帰り黙認であったと聞いた。その原因は、二言語の権力闘争と、高福祉高負担であったようだが、ベルギーが抱える現在の問題の縮図でもある。
所得税の最高税率7割を超え、万人に福祉を施し、政府内部では言語闘争に明け暮れればどうなるか。
ストーリーはこうだ。
低所得の国から来た青年が、ベルギーの女性を篭絡し、正式の夫となる。その家族を場合によってはマイクロバスで北アフリカから呼び寄せベルギーで根をはり、もともと所得が低いため、福祉は受けるが税の負担はない。結果は、豊かな厚みのある中間層が不公平感を感じ、国を捨てることになる。少なくとも国民として義務を忌避するようになるのは当然であろう。
なぜ、隣の娘が若気の至りで夫婦になった男の一族が、かの地からやってきて、やれ医療だ、やれ学校だ、社会福祉だとかを享受させなければならないのか、理解できなくなり税金さえ払うのが煩わしくなるのだろう。