メイドインニッポン漫遊録 「ひととき」より

2016年5月4日

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いであつし (いで・あつし)

コラムニスト

1961年、静岡県生まれ。コピーライター、「ポパイ」編集部を経て、コラムニストに。共著に『“ナウ”のトリセツ いであつし&綿谷画伯の勝手な流行事典 長い?短い?“イマどき”の賞味期限』(世界文化社)など。
 

今や希少なバルカナイズ製法

ずらりと壁一面に歴代モデルが飾られているショールームで鎌倉さんと筆者のスニーカー談議 

 「何としてでも自社工場を残したい! という一心で、80年以上も続くゴム工場ですから何か宝物が眠っているはずだと工場内を見直してみたら、三台あるバルカナイズ製法の釜と、四十年前の体育館シューズのゴム底の型に目が留まったんです。これだ! と思い、これで何か作れないだろうかと試行錯誤しながら、流行に左右されず品質も良いスニーカーを作ることにしました。そして忘れもしません。平成14年(2002)、スピングルムーヴが誕生したのです」

 一番人気のある柔らかいカンガルーレザーを使用した定番モデル「110」を手にして、そう語ってくれた鎌倉さん。まさにピンチはチャンスとはこのことだ。スピングルムーヴ誕生までには、こんな熱い復活劇があったのである。さっそくワレワレも鎌倉さんの案内で工場見学をさせてもらうことにした。

 工場内に一歩入るとゴム特有の臭いと熱気でムンムンしている。ここで熟練のゴム職人たちが生成したゴムを巨大なローラーで薄く伸ばして、スニーカーの様々なパーツに加工しているのだ。何といっても圧巻は、三台ある巨大なバルカナイズ製法の釜から、プシューッ! という熱気と共に仕上がってくるスニーカーだ。その光景はまるでタイムマシンから出てきた未来のスニーカーのようである。

日本にもここと数台しかない今や希少なバルカナイズ製法の釜から出てきたばかりのスニーカー

 

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