香格里拉(シャングリラ)への長く不快な道のり
2月23日 麗江から香格里拉までは長距離バスで4時間ほどである。沿道の山々を眺めながらの爽快なバス移動になるはずであった。しかし麗江バスターミナルを出発してから15分も経たないうちに不快なバス旅になってしまった。車内で初老の大人しそうな男が先ず煙草を吸い始めた。それからは車内禁煙表示を無視してそこかしこで喫煙が。
たちまち車内はタバコの煙で充満。たまりかねて私が注意しても完全無視、吸い終わるまでタバコを消さないのである。何人かに注意しても無視されるので根負けした。私が注意したときの彼らの表情からは“おかしな外国人がわけのわからないことを言っている”と読み取れた。車内喫煙が悪いことであるという認識は全くないのである。また他の乗客も車内喫煙を当然のように黙認しているのである。
香格里拉で語り合った中国民衆の公徳心
2月27日 香格里拉のゲストハウスで香港人の学生と相部屋となった。久しぶりに英語で心置きなく文明人と会話をして爽快であった。彼に私が見聞きした中国人の煙草のポイ捨て、ゴミのポイ捨て、禁煙指定の公共の場所での無遠慮な喫煙など公徳心のなさを鬱憤晴らしに批判したところ、「それは中国の現実であり当然です。中国人に公徳心を求めるのはそもそも間違いです。中国人にとっては自分自身の損得勘定が行動規範なのです」とのコメント。
さらに「公共空間を清潔に保つために煙草の吸殻やゴミをわざわざゴミ箱に捨てに行ったり、公共の場所で喫煙を我慢しても金銭的に何の得にもなりません。逆にポイ捨てしたり車内喫煙したら罰金を科せられるということが明確になれば大衆は規則を守ろうとするでしょう。しかし現実には警官も保安員も公共施設の管理人も規則違反者を摘発して処罰しようとしない。それは彼らの上司、即ち共産党の末端組織がゴミや吸殻のポイ捨てを真剣に取り締まる意欲がないからでしょう」と続けた。