2024年11月21日(木)

Wedge REPORT

2016年4月29日

職探しに必要な「家族の理解」

 山田さんが幸運だったのは、働くことに対して、夫も含め家族の理解があったことだ。むしろ教師として働いていた義理の姉の言葉は山田さんの背中を押した。「子どもと過ごす時間の長さだけが愛情じゃないのよ。会った時に思いっきり抱きしめてあげるとか、一緒にいる時間の『質』の方が大事だと思う。働くことが必ずしも子育てにとってマイナスになるわけではないよ」。


出産を機に退職した母親たちが再就職活動をするための最初の壁は、家族の理解を得ることであることは現在でも同じようだ。働くママを雇用するママスクエア(東京都・港区)の藤代聡社長はこう語る。「育児中の母親が再度働き始めるには夫の親も含めた家族の理解が必要です。夫の収入がそこそこあるのに、なぜ母親が働くのかと、旦那さんや義理の父母が反対するなど、働き続けることに対して家族の理解を得られないことも多い。当社の面接に来る母親たちの大きな悩みです。一方で、これから働きたいと願っている母親たちにとってはキャリア復帰の最初の一歩を踏み出せるかどうかは死活問題なわけです。相当な心理的な負担になっているという意味では、必ずしも待機児童問題だけが母親たちを苦しめているのではありません」。

 もちろん山田さんが仕事を続けるには保育園に子どもを預ける必要もあった。それも認可保育園に子どもを入れるとなると、ポイントを多く稼ぐことができる共働きの親が優先されるため、一度離職した山田さんは、受け入れ先を懸命に探し回る必要があった。そうして私立の認可外保育園に何とか受け入れてもらうことができ、再入社が叶った。復帰した初日には当時の社長にこんなことを言われた。

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 「Welcome back(よく帰ってきてくれた)!実は3回目の電話は人事に頼んで僕がかけさせたんだ。3度目の正直って言葉もあるからね。山田君の経験を生かしてママでも働きやすい会社を一緒に作っていこう」


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