前田社長(左)と筆者
「松浦工場は213人いる社員のうち、男性は22人。企業誘致を受けて工場を開いた際、地域に根差した地元雇用を目指して技術指導を行い、女性を中心とした多くの職人を抱えるパンツ工場になったのです」
ミシンでダァーッと縫う人、アイロンをシャーッと掛ける人、生地をジョキジョキと裁断する人。さすが手際よくて無駄な動きは一切ない。でも有線が嵐の曲だったりするところが、女性の多い職場らしくてチャーミング。
工場の1階フロアの真ん中には「もの言わぬ ものがもの言う ものづくり」と書かれた、巨大な垂れ幕がどぉんと掲げられている。これは、創業時の第1期生社員で現在は技術長を務める眞弓隆治さんが、社員から公募して選んだエミネント社のスローガンである。
まさにそのスローガンのとおり、松浦工場では手間暇をかけて1本のパンツが作られている。普通、パンツは平均90ほどの工程で出来上がるのだが、なんとエミネント社では平均123もの工程を経て作っているのだ。
仕事場に大きく掲げられているスローガン
天井に設置されているレールに沿って、フックに掛けられたあらゆるパンツのパーツ生地が工場内を次々と流れて移動して行く。日本人の体型を長年に渡り研究して開発された創業当時から使われているエミネント社オリジナルの立体プレス機「尻ぐせプレス」や、大小様々な種類のアイロンやミシン類。それらを駆使して、テキパキと仕事をこなす、パンツを知り尽くした職人たち。工場というよりは、まるで巨大なテーラーのようである。