2024年4月19日(金)

メイドインニッポン漫遊録 「ひととき」より

2016年5月29日

123の工程を担う女性マイスター

平成15年(2003)入社の榎並望さん。「美しいシルエットと穿き心地の良さが自慢です」

 そして何より松浦工場の一番すごいところは、パンツ作りを知り尽くした職人たちが女性ということだ。彼女たちの繊細で丁寧な仕事が、美しいシルエットと抜群の穿き心地のパンツを生んでいるのだ。

 年齢も経験もバラバラな職人さんたちには、各ラインごとに仕事をまとめる「マイスター」と呼ばれる地元松浦育ちのベテラン社員がいる。目印は赤いエプロン。現在、赤いエプロンをしたマイスターの数は11人。まさに松浦工場のなでしこジャパンならぬ「エミネントイレブン」だ。

 そんなエミネントイレブンのリーダーが、松浦工場ができた昭和44年に入社した社員第1期生の黒木美代子さん。彼女に聞けば松浦工場の歴史はもちろん、日本のスラックスの歴史もわかる、メンズパンツを知り尽くしたトップマイスターである。

 「そんなことありません(笑)。でも男性の後ろ姿を見ただけで穿いているパンツのシルエットや穿き心地、素材はわかります。この仕事をやっていて唯一悔しいのは、自分で作ったパンツを穿けないということですね」

 そう語る黒木さんの横で息子のような顔で苦笑いする、カルツォーニの美脚パンツがお似合いの前田さん。何しろ黒木さんが入社した頃はまだ小学生でしたからね。

黒木美代子さん(前列左から2人目)をリーダーにずらりと揃ったパンツ作りのマイスター、エミネントイレブンの皆さん

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