読書

2016年6月3日

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特別な人間でなくても、大きな成果はあげられる

―― なるほど。ちなみに、どのような幼少期をお過ごしだったのですか。

加藤 僕が4歳の時に、起業家だった父親が事業に失敗し、その結果僕たちは抵当によって家を追われることになってしまいました。その後、両親は離婚。僕は母方について、母子家庭で育ちました。それからというもの、経済的にはかなり苦しい生活を送っていました。僕の学費を工面するために、3歳上の姉は高校進学をあきらめて働き、家計を支えてくれたんです。そのおかげで、奨学金をもらいながらも僕は高校、大学と通うことができたんです。

―― そのような過去があったのですか。大学卒業後は東京三菱銀行(現・三菱東京UFJ銀行)に勤めていたんですよね。

加藤 はい。しかし、書籍の中でも書いた通り「パン屋さんの奥さん」とのエピソードをきっかけに、自分の仕事に疑問を感じるようになりました。

―― 疑問、ですか。

加藤 はい。その当時、返済が滞るようになったパン屋さんからお金を回収する仕事を担当していました。パン屋さんに対して、「家を売ってお金をつくってください」と交渉する仕事です。このパン屋さんの奥さんには大学生の息子さんがいたのですが、その息子さんと自分の境遇がどうしてもかぶってしまうんですよね……。自分自身も父の事業の失敗により、家を追われる経験をしていますから。この経験を通して、「人を家から追い出す仕事って、はたして自分がやりたいことなのか?」と、自分の仕事の意味を見失ってしまったんです。そして、銀行を辞めるという決断をしました。

―― 加藤さんにとって、それほど痛烈な経験だったのですね。

加藤 パン屋さんの奥さんの話が他人事とは思えず、自分の生い立ちと重なって、痛いほど理解できてしまったんですよね。自分の生い立ちが原体験となり、強烈な当事者意識を持ってしまったんです。この経験が元となって、このパン屋さんのような経営の危機に陥った企業の再生を請け負うコンサルティング会社に転職したんです。

―― そして、この決断がその後の人生を大きく動かしたように思います。

加藤 その後は、コンサルティング会社でM&Aを経験したり、シャフトのCFOとしてグーグルに買収されるというような、大きな成果を次々と出してきたと思っています。けれど、どの経験も、その成果にたどり着くまでは壁にしか見えていなかったわけです。詳しくは書籍に記していますが、成果を出すための道すじはまったく描けていませんでした。ただ、やらなければならない!という強い思いだけがあったんです。そしてただただ、一歩を踏み出し続けたのです。

―― 加藤さん自身も苦労の時代があるからこそ、これから「何か大きなことをしたい」という若者を応援したいという気持ちがあるのですね。

加藤 そうです。生い立ちを含め、自分のこの経験から「経済的に裕福な家庭で育ったかどうか」と、「自分が大きな成果をあげられるかどうか」というのは、何も関係がないと思っています。それだけではなく、学歴や、お金、コネがなくても、何も持っていなくたって社会的な成果をあげることができると思うんです。僕自身、「経済的に貧しい不遇な環境から、自分で本を読み、主体的に学んでここまで来ることができた」という自負があります。だからこそ、何か普通でない成果をあげたいという意欲あるビジネスパーソンに、「何も持っていなくたって、大きなことは成し遂げられる!」と伝えたいんです。

(編集・構成 マツオカミキ)

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