北朝鮮メディアは、3月24日に、弾道ミサイル用の固体ロケットモーター、4月9日に大陸間弾道ミサイル用の液体燃料エンジンの試験の画像を公開し、それぞれ金正恩氏が現地指導したと報じた。それだけ、北朝鮮にとっては重要ということだろう。液体燃料エンジン試験の画像を見ると、噴射の筋に太いのと細いのとがあるのが分かる。これは、何を意味するのか。
朝鮮中央通信は、3月9日、銀色の球体を前にした金正恩氏の「核爆弾を軽量化して弾道ロケットに合わせて標準化、規格化を実現した」との発言を複数の画像とともに報じた。その画像の中に、まだ詳細は不明ながら移動式の3段式大陸間弾道ミサイルと見られるKN-08の、第1段下部と思しき部分に大きさの異なる噴射口が映り込んでいた。4月9日の画像と比較すると、KN-08の1段目は、4D10系列の主エンジンと副エンジンを複数組み合わせたものとも推測され、同様に詳細不明な大陸間弾道ミサイルKN-14も同形式の可能性がある。
日本にとって無視できないムスダン(AFP/JIJI)
ここで、気にかかるのが、ムスダンの失敗である。4月15日の失敗後、28日まで、北朝鮮の技術者が、何もしなかったとは考えにくい。2週間弱の期間では発見、改善できなかった、何か抜本的問題があることを示唆するのか。もし、それが4D10系エンジンに関わるなら、KN-08やKN-14移動式大陸間弾道ミサイルの性能への〝疑問符〟につながりかねない。
そんな状況のまま党大会を迎えたことが、金正恩氏の「敵対勢力が核でわれわれの自主権を侵害しない限り……先に核兵器を使用せず」との「活動報告」に盛られた核先制不使用表明の背景にあるのだろうか。