2024年5月27日(月)

WEDGE REPORT

2016年5月31日

北朝鮮の弾道ミサイルその歴史と能力

 米国防総省の資料では、ノドンの移動式発射機は、50両以下とされる。見方を変えれば、この数だけ、ノドンは連射が可能ということになる。この系統のミサイルは、噴射口が1つで、4方向から噴射口に突き出したベーンという板を動かして、噴射の向きを変え、ミサイルの飛翔方向を調整する。

北朝鮮は米国に届く弾道ミサイル開発に躍起だ(出所)防衛省「平成27年版防衛白書」など各種資料を基にウェッジ作成
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 2つ目は、ムスダンに代表される旧ソ連の液体燃料の潜水艦発射弾道ミサイルR-27の系統だ。北朝鮮は、ソ連崩壊(91年)前後に、R-27と、そのエンジン4D10を約50基入手したとされる。4D10は、メインエンジン1基の他に、偏向可能な小型のロケットエンジン2基を組み合わせた構造。小型のロケットエンジンの向きを変えて、ミサイルの飛翔方向を制御する。

 R-27は旧ソ連時代に653発が試射され、579発が成功と安定した性能を示したとされる。ムスダンは、全長約9mのR-27を12m余に延長して、燃料と酸化剤の量を増やし、4D10、または、その北朝鮮版エンジンを使用したとみられ、最大射程は2500kmとも4000kmとも言われる。

 ムスダンは、最大射程なら日本を飛び越えるが、物理的には意図的に高く打ち上げて手前に落とす方法で日本を狙うことも可能だ。もし発射実験に成功して運用が開始されれば、日本のイージス艦に現在装備されている迎撃ミサイルでは迎撃が困難であり、日本にとって厄介な存在となりかねない。

 3つ目は、旧ソ連のOTR-21固体推進薬弾道ミサイルをベースに開発された短距離のKN-02ミサイル。液体の燃料よりも発射準備に時間がかからない固体燃料で、燃料と酸化剤を混ぜたゴム状の推進薬を充填したケースの中で燃焼させ、噴射する。射程150km程度とされるKN-02は、日本には届かない。 

 4つ目は、先述の「銀河」だ。第1段はスカッドのエンジン4基に偏向可能な小型ロケットエンジン4基、第2段はスカッドまたはノドンのエンジンを1基、第3段は固体推進モーターを使用しているとみられる。つまりこれまでの3系統の〝混成〟といったところ。米本土を狙う大陸間弾道ミサイルとして使用するなら射程1万2000kmに達する。ただし、一度、大気圏外に出た弾頭部が大気圏再突入の熱や振動に耐えられるのか、また、全長32mという大きさから発射準備が偵察衛星や偵察機から見られないように隠す竪穴式の発射装置「サイロ」の有無がカギとなる。


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