2024年7月16日(火)

WEDGE REPORT

2016年5月31日

日米韓のミサイル防衛にかかわる潜水艦発射能力

弾道ミサイル迎撃システムを備える海上自衛隊のイージス艦「こんごう」(GettyImages)

 実は日本にとっては、4月23日に試射された潜水艦発射弾道ミサイル(KN-11)の存在が大きい。たった30kmで散ったとしても、それが海中から飛び出し、点火することに成功したからだ。

 先述の通り韓国軍は失敗と評価したが、朝鮮中央通信(4月24日)は「最大発射深度での弾道ミサイル冷発射システムの安全性と新たに開発した大出力固体エンジンを利用した弾道ミサイルの垂直飛行態勢での飛行動力学的特性、階段熱分離の信頼性、設定された高度で戦闘部核起爆装置の動作正確性の確証を得ることを目的として……信頼性の完全な確証が得られ」として、発射準備が短くて済む固体推進薬のミサイルを海中の潜水艦から高圧ガスで撃ち出し点火、所定高度で核の起爆装置試験を行い、成功したと説明した。

 米ジョンズ・ホプキンズ大学の北朝鮮分析サイト「38ノース」は、衛星画像の分析から、北朝鮮が弾道ミサイルを撃つためのさらに大きな潜水艦を建造している可能性を指摘した。従来、北朝鮮の弾道ミサイルは地上発射だけだったので、日本も米国も韓国も北朝鮮の方角だけを警戒していたはずだが、潜航中の潜水艦からの発射となれば、警戒すべき方角が広がる。

 しかも、金正恩氏は「強力な核攻撃のもう1つの手段」(前掲)と評価していた。どの方角から飛んでくるか、予測しづらい潜水艦からの核弾頭。実現すれば、ノドンとともに日本にとって厄介な存在となるかもしれない。

  
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