2024年12月22日(日)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2016年5月25日

 4月16日付のニューヨーク・タイムズ紙で、同紙ワシントン支局長のデイヴィット・サンガーとウィリアム・ブロード同紙記者が、米露中の3カ国は、新世代の、より小型でより破壊的な核兵器を追求しており、冷戦時代の軍拡競争が再現され、半世紀以上続いた核の平和が脅かされる恐れがある、と述べています。解説記事の要旨は以下の通りです。

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新兵器開発に力注ぐ米露中

 ロシアは、小型核弾頭を搭載した大型ミサイルを配備し、またロシアの報道によれば、水中で爆発させ、放射能の汚染をまき散らかし、目標の都市に人が住めなくなるような水中ドローンを開発している。

 中国は「超音速滑空飛行体(hypersonic glide vehicle)」と称する新しい弾頭の実験をした。それは従来の長距離ミサイルで宇宙に打ち上げられた後、大気圏で秒速1マイル以上で曲がり疾走する。ミサイル防衛が役に立たなくなり得る。

 他方米国も超音速兵器を開発していて、2014年の実験は失敗したが、来年試験飛行が再開される。米政府は核兵器近代化の一環として、5種類の核兵器と運搬手段の改善を計画し、米国の兵力は小型、ステルス、精密の方向にある。

 新兵器登場の一つの懸念は、冷戦時代の「相互確証破壊」による抑止理論が有効でなくなるかもしれないということである。精密で、破壊力の少ない新兵器は、使う誘惑にかられるのではないかとの懸念である。


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