2024年4月23日(火)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2016年5月25日

 ペリー元米国防長官は、ロシアが包括的核実験禁止条約から脱退するのではないかと心配している。ペリーはロシアが新しい爆弾を開発しているのは間違いなく、実験をするのはプーチン次第だと述べた。

偶発核戦争の危険性も

 米国は最新の巡航ミサイルを開発している。この巡航ミサイルは爆撃機から発射され、地上に沿って長距離飛行し、敵の防空網をかい潜って目標物を破壊する。米国はまた、中国に先行して超音速弾頭を開発している。米国の超音速弾頭は非核で、その速さと正確さ、物理的衝撃でミサイル基地などを破壊するものである。非核なので核兵器依存を減らすというオバマの約束を満たすが、その技術にかなわない相手は、核兵器で対抗しようとするかもしれない。

 ペリー元国防長官は、米国の小型核兵器の開発の結果、「考えられないこと」が起こり得る、すなわち核兵器がより使用可能と見られるようになると述べた。

 米国の新兵器開発で最も脅威を感じているのは中国である。中国は太平洋の米艦隊の対ミサイル迎撃機を懸念し、新しい誘導爆弾、最新の巡航ミサイル、新しい運搬手段を含む米国の核の近代化に恐れおののいている。中国はすでに長距離ミサイルの多弾頭化など、対応策を講じていて、今後10年間対応し続けるだろう。中国軍部は昨年、核戦力のための戦略早期警戒を改善すると述べた。早期警戒は偶発核戦争の危険を増すとの批判が強い。

 核兵器専門家のノースカロライナ大学Mark Gugrudは、超音速の兵器の開発が続けば、操作可能な弾頭は今後10年で世界中で現実のものになるだろう、「世界は核の精霊を瓶に戻すことに失敗した。今や新しい精霊が広まっている」と述べた。

出 典:David E. Sanger & William J. Broad ‘Race for Latest Class of Nuclear Arms Threatens to Revive Cold War’(New York Times, April 16, 2016)
http://www.nytimes.com/2016/04/17/science/atom-bomb-nuclear-weapons-hgv-arms-race-russia-china.html


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