2024年7月16日(火)

世界の記述

2016年6月22日

実は移民とイスラム教徒に支えられるロンドン

 そもそもロンドンにおける移民の割合は39%に達し(13年)、飛び交う言語は150カ国語に及ぶ。とりわけ外国人やイスラム教徒に支えられている金融街シティーは、英国の国内総生産(GDP)の1割超を生み出す。イスラム教徒の議員や政府高官は当たり前になっている。それもこれも、「国際金融都市ロンドンを維持する」という目的のためだ。

 選挙戦後半には保守党内部からも「財閥の御曹司に足をすくわれたくない」(保守党関係者)とゴールドスミス氏へ批判の声が強まった。

 「人権派弁護士」「バス運転手の息子」「パキスタン移民2世」「イスラム教徒」。いくつものキーワードを有し、大きな期待を背負ったカーン氏だが、実際の政治的手腕は未知数だ。

 イスラム教徒にとっての断食月に当たるラマダンが始まったが、イスラム国(IS)がこの時期、ロンドンを攻撃するとのうわさも飛び交っている。また、国内外の富裕層の資金流入でロンドンの住宅価格と家賃は上昇を続け、庶民の不満は高まっている。

 ロンドンの安全と市民生活をどう守るのか、カーン氏はのっけから試練と向き合うことになりそうだ。

  
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