2024年4月20日(土)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2016年6月21日


原油価格(WTI:West Texas Intermediate)がこの秋50ドルぐらいに落ち着くであろうとの見通しは、妥当と思われます。

 WTIは、ここにきて50ドル前後をつけていますが、これはナイジェリアの政情不安、カナダ・アルバータ州の山火事という、短期特殊要因を反映したものと思われ、このペースで油価が上昇し続けるとは考えられません。

耐久性をつけたシェール

 今後の原油価格の動向を左右する供給側の主たる要因は、米国のシェールオイルの動きとサウジの政策でしょう。米国のシェールオイルについては、原油価格が30ドルまで下落すると、さすがに打撃は大きく、倒産する会社が増えたり、新規投資が手控えられたりしましたが、米国のシェールオイルの損益分岐点は、技術革新により急速に下がってきています。また、シェールオイルの特色は、油田の開発に要する時間が短いことです。したがって、原油価格が50ドルぐらいになれば、米国のシェールオイルの生産が再び増加に転じると予想されます。

 一方、サウジについては、ヤーギンが指摘するように、当分は生産を拡大すると予想されます。したがって、原油価格が50ドルを越えて上昇し続けることは、予想しがたいと言えるでしょう。

  
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