途中で出会った地元の若者によるとカルト教団が村外れに大きな屋敷を建ててサンチアゴ巡礼者をカルト教の信者になるように勧誘しているとのこと。屋敷には宿泊施設があり無料で食事も提供している。貧しくて若い巡礼者が知らずに宿泊して信者になるよう強要されるというトラブルが多発しているので村人が巡礼者に注意を促しているという。
この村外れにカルト集団の屋敷(メゾン・ド・カルト)があった。
教えてもらった迂回路を通って村落を通り過ぎたところで丁度よい木陰とベンチがあったので小休止。時刻は1時過ぎで太陽がギラギラ照り田舎道には陽炎が立っていた。そこへ一台の小型自動車が通りかかった。男女2人が乗っていた。助手席の学生風女子が車を降りて私に向かってきた。フランス訛りがあるがきちんとした英語で挨拶してから私が巡礼者か、どこから来たかなど礼儀正しく尋ねた。
しばらくするとベンチに腰掛けて私の隣に座り、親しそうに「日本は素晴らしい国ですね。美しい自然や長い歴史があって日本に大変興味を持っているの」と嬉しそうに話す。しばらく日本文化についておしゃべりした。そのうちにあなたは自分の人生について悩んだり迷ったりすることはありますかと聞かれたので「当然ですよ。だから巡礼をしている」と適当に返事をした。
フランスのボルドーから来たカトリーヌ嬢とオジサン、デザートを頂きながら
すると微笑しながら「あなたは良い人ですわ。今日の午後、私の家に友人達が集まるの。この食事会に是非参加してください。そして日本のことを友人たちに話してください。そしてあなた自身についても是非聞かせてください。」と顔を近づけて熱心に誘う。