2024年12月6日(金)

赤坂英一の野球丸

2016年7月20日

 今年のオールスター、日本ハム・大谷翔平のホームランばかりが注目されたが、西武・栗山巧の活躍もまことに感動的だった。高卒でプロ入りして15年目、32歳で初めて球宴に出場し、1本塁打を含む3安打2打点と鬱憤を晴らすかのような大活躍を見せたのだ。

 ヤフオクドームでの第1戦では、九回無死一塁から代打で登場、広島の抑え・中崎から球宴史上16人目の初打席初本塁打を放った。横浜スタジアムでの第2戦では2番・レフトでスタメンに入ると、DeNA・石田健太、阪神・岩貞祐太から2打席連続安打。二回には、レフトから本塁へのワンバウンド送球で広島・エルドレッドの生還を阻止する鮮やかな(?)補殺プレーまで披露している。

 その程度の選手どこがそんなに感動的なのか、と言われるかもしれない。オールスターではザラに見られるプレーではないか、と。

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なぜ15年もかかったのか?

 しかし、栗山は2001年秋のドラフト4位で育英高から西武に入団して15年、08年に大変レベルの高い外野の一角でレギュラーをつかんでから8年。その間、ベストナイン3回、ゴールデングラブ賞1回と実力も十分に評価されているのに、これまで球宴にはまったく縁がなかったのだ。新人の阪神・高山俊、4年目の広島・鈴木誠也、5年目の楽天・岡島豪郎がスムーズに(?)初出場しているのを見ると、どうして栗山だけが15年もかかったのだろう、と首をひねりたくもなる。

 最大の原因は、栗山が主力選手となった08年以降、パ・リーグの外野に人気者と実力者がひしめきあっていたことにある。この時期の主な球宴出場選手を挙げると、日本ハム・稲葉篤紀、中田翔(11~14年外野手、15年~一塁手)、陽岱鋼、ソフトバンク・内川聖一、長谷川勇也、柳田悠岐、ロッテ・サブロー、角中勝也、清田育宏、楽天・松井稼頭央、オリックス・糸井嘉男、さらに栗山と同じ西武では秋山翔吾のほうが昨年、先にオールスターに選ばれている。これだけ錚々たる顔ぶれがそろっていては、ファン投票の3人枠はもちろん、選手間投票や監督推薦の3〜4人に入ることも難しかったわけだ。

 ここ数年、栗山は「一度でいいからオールスターに出たいんですよ」と周囲にもらしていたという。体調不良や後半戦への準備などを理由に球宴不参加を決め込む選手も珍しくない中で、栗山の願いは誰よりも切実に聞こえた。球団もそうした栗山の意を汲み、ツイッターでファンに投票を呼びかけたが、結果は惜しくもパ外野手部門の5位。3位の糸井に1809票差で涙を呑んだ。そこへ西武OBでもある全パ監督・工藤公康(ソフトバンク)が監督推薦の手を差し伸べてくれたのだ。


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