科学で斬るスポーツ

2016年7月22日

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 剣を持った頭脳戦とも言われる、フェンシングも同様だ。2009年から情報分析を担当する千葉洋平さん(33)は、2012年のロンドン五輪男子フルーレ団体銀メダル、2015年の世界選手権での太田雄貴選手(30)の優勝にも貢献した。

Hemera

 リオ五輪でも多くのメダルが期待される日本競泳の動作分析を担当するのが、岩原文彦さん(44)だ。世界のトップ選手の泳ぎを解析し、アテネ、北京五輪の二大会連続100,200m平泳ぎで金メダルを獲得した北島康介選手らにもかかわった。400m個人メドレーに出場する瀬戸大也選手(22)が苦手とする背泳ぎの改善に取り組んでいる。

 こうしたアナリストの成功を受け、今までデータ分析を行っていなかった柔道もデータ分析を始めた。前回ロンドン五輪で、日本のお家芸と言われる柔道は金メダルゼロに終わった。日本はビデオ研究で尽くされていた。日本の選手らは度重なるルール改正に対応できないでいた。アナリストの石井孝法さん(36)は、五輪後の試合映像を集め、どこが悪いのか分析。日本選手は、あまりにも柔道固有のきれいな柔道にこだわり、変則技の外国人勢に対応できないでいた。こうした変則技に適応できるようにトレーニングを繰り返している。今回のリオ五輪では、新生の日本柔道がどこまでメダルを獲得できるかも注目の一つだ。

日本スポーツアナリスト協会発足

 スポーツアナリストを活用しているのは、ドイツ、アメリカ、イギリス、オーストラリアなど。スポーツ大国で盛んだ。ただ、日本は日本人特有のきめ細やかさ、繊細さでデータを読み込むことを強みとする。2014年暮れには、こうしたスポーツアナリストが情報交換し、切磋琢磨するための日本スポーツアナリスト協会(JSAA)が発足。初代会長には渡辺さんが就任した。こうしたアナリストの活躍の場は今後、拡大していくことは間違いない。

 選手のメダルの裏には、選手の能力、努力が大きく存在することはいうまでもない。しかし、今や事前の情報収集なしには、簡単にメダルはとれない時代だ。その意味では、経済大国が、五輪のメダルを独占してしまうという負の側面もある。しかし、五輪に出場する選手の超人的なパフォーマンスは、観ている凡人を大いに楽しませてくれる。リオ五輪で活躍する選手の裏には、多くの情報戦を担うアナリストがいることも忘れないでほしい。
 

  
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