2023年1月31日(火)

WEDGE REPORT

2016年7月26日

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崔 碩栄 (チェ・ソギョン)

ジャーナリスト

1972年韓国ソウル生まれ。韓国の大学で日本学を専攻し、1999年渡日。関東地方の国立大学で教育学修士号を取得。日本のミュージカル劇団、IT会社などで日韓の橋渡しをする業務に従事する。現在、フリーライターとして活動、日本に関する紹介記事を中心に雑誌などに寄稿。著書に『韓国人が書いた 韓国で行われている「反日教育」の実態』(彩図社刊)、『「反日モンスター」はこうして作られた-狂暴化する韓国人の心の中の怪物〈ケムル〉』(講談社刊)がある。

「安全の日本」というイメージ
しかし、日本の放射能基準を不信する理由は?

 一方、日本産水産物の輸入禁止措置をとった韓国政府と日本産水産物に不安を感じている消費者たちがいることは日本でも知られた話であろう。韓国政府は福島原発爆発事故の後、2013年から福島、宮城、岩手、青森、群馬、栃木、茨城、千葉の8県からの全ての水産物について輸入を禁止した。日本産水産物は放射能汚染の恐れがあるとの理由だ。以来、日本からの水産物輸入は以前の半分以下に急減。宮城県では今まで韓国への輸出が多かったホヤ養殖が販路を失い、ホヤを大量廃棄したとのニュースは記憶に新しい。

 日本側は輸入禁止の撤回と具体的な根拠の提示を求めているが、韓国政府は「国民の不安」という心理的な理由をあげるだけで、客観的根拠の提示はない。日本政府は韓国の措置が不公正だとWTO(世界貿易機関)に提訴したが、未だ輸入禁止措置は解除されていない。また、韓国国民の多くはこの件については政府の措置に賛成している。その措置が具体的な根拠に基づいてないにも関わらず疑問を持つ人はほとんどいない。

 <中国発微細塵>については、韓国政府の発表より「安全に厳しい日本」を信頼しながらも、 <日本の放射能>については何の根拠も提示できない韓国政府を信頼する矛盾を見せているのだ。

 韓国社会に内在するこの矛盾の最も大きな原因は「マスコミ」にある。韓国マスコミは日本水産物の危険性と恐怖を誇張し、政府の輸入禁止を正当化する報道を繰り返してきた。客観的な根拠がなくてもマスコミが談合し、情報をコントロールすればいくらでも国民世論を動かせるという例ともいえる。

 しかし、危険性を強調する韓国政府とマスコミの主張にもかかわらず、日本の安全基準と水産物の安全性を直接証明してくれているのは他でもない韓国人たち自身だ。2010年以後、日本を訪問する外国人観光客の数は韓国がずっと1、2位を争うほど人気で、今年の夏も韓国人の海外旅行先として一番人気は「日本」だ。彼らは日本で寿司と刺身を満喫し、様々な魚料理を食べるだろう。韓国内では食べることができない日本の魚をわざわざ日本まで来て楽しんでいるのだ。

 もし、日本産水産物が本当に危険ならば韓国政府とマスコミは、日本へ出かける韓国人や日本滞在中の韓国人にその危険性をはっきり警告すべきだ。しかし、そんなことはしない。それはなぜだろうか。それでは国民が納得するはずがないことを自覚しているからではないだろうか。

  
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