家庭用充電システムでも強力なライバルが登場した。ドイツのソーネン社だ。ソーネンは家庭用充電システムの先駆者で、今年1月にアメリカ支社をオープンさせたばかりだ。しかしテスラが独自の家庭用充電システム「パワーウォール」を最初の3カ月で2500ユニット販売した、と発表したのに対し、ソーネンでは同時期に2600ユニットを販売、とテスラを上回る。ソーネンは今年1月に米ソーラーパネルメーカー、ソーラー・ワールド社との提携も発表しており、今後テスラ/ソーラー・シティとの激しいシェア争いが期待される。
リチウムイオン電池は今後もEVの中心か?
もっと深刻なのは、リチウムイオン電池が今後もEV用バッテリーの中心でいられるか、という問題だ。ナビガント・リサーチ社によると、リチウム・サルファー、リチウム・ソリッド・ステート、次世代フロー、リキッド・メタルの4つの技術が次世代バッテリーとしてほぼ完成の域に近づきつつある、という。
さらに注目されているのが、MITの研究者らが開発を進めるリチウム・オキシジェンだ。このバッテリーは「リチイム・イオンの5-15倍の能力がある」として一時脚光を浴びたが、エネルギーのおよそ3分の1が熱として奪われる、寿命が短いなどのマイナス面が発覚し、下火となっていた。
ところがMIT、北京大学などの研究者が共同で、こうした弱点を克服できるリチウム・オキシジェンの開発に取り組んでいる、という。研究チームによると今後1年以内にプロトタイプを発表、18ヶ月以内にメーカーに販売できるレベルに持ち込める、という。
リチウム・オキシジェンはスマホからEV、家庭用充電システムまで様々な機器に対応でき、研究者は「毎日スマホを充電しなくても良い、というだけでも十分なアピールになる」と自信を見せる。チームは現在目標に向け投資を募っているが、実現すれば現在のバッテリー地図を大きく塗り替えるものとなる可能性がある。
自動車メーカーが現在EVに求めているのは「継続走行距離200マイル(320キロ)レンジ」だ。現在このレベルに到達しているのはほぼテスラモデルS(走行条件による)のみと言える。しかし次世代バッテリーが登場すれば走行距離が飛躍的に伸びる可能性があり、EVを生産する各自動車メーカーも新しい技術に注目している。
こうした環境の中でオープンしたテスラのギガ・ファクトリー。果たしてその勝算は。
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