海野素央のアイ・ラブ・USA

2016年8月17日

»著者プロフィール
著者
閉じる

海野素央 (うんの・もとお)

明治大学教授 心理学博士

明治大学政治経済学部教授。心理学博士。アメリカン大学(ワシントンDC)異文化マネジメント客員研究員(08年~10年、12年~13年)。専門は異文化間コミュニケーション論、異文化マネジメント論。08年と12年米大統領選挙で研究の一環として日本人で初めてオバマ陣営にボランティアの草の根運動員として参加。激戦州南部バージニア州などで4200軒の戸別訪問を実施。10年、14年及び18年中間選挙において米下院外交委員会に所属するコノリー議員の選挙運動に加わる。16年米大統領選挙ではクリントン陣営に入る。中西部オハイオ州、ミシガン州並びに東部ペンシルべニア州など11州で3300軒の戸別訪問を行う。20年民主党大統領候補指名争いではバイデン・サンダース両陣営で戸別訪問を実施。南部サウスカロライナ州などで黒人の多い地域を回る。著書に「オバマ再選の内幕」(同友館)など多数。

クリントン陣営の5段階評価

 クリントン陣営は、支持者の家にボランティアの運動員を集めて、週末にトレーニングを行っています。トレーニングの時間帯と回数は、土曜日が午前9時、12時並びに午後3時の3回、日曜日が12時及び午後3時の2回です。1回のトレーニングは質疑応答を含めて30分弱です。講師は、有給のスタッフないしボランティアのリーダーです。

 ボランティアの運動員には、有権者名簿、コミットメントカード(約束カード)及び有権者登録の用紙が用意されています。以下では、有権者名簿とコミットメントカードについて述べます。

コミットメントカード(表)

 有権者名簿には、約40名の標的となっている有権者の名前、住所、性別及び年齢が掲載されており、彼らを以下の5段階評価で分類するように指示が出ています。

コミットメントカード(裏)

① クリントンを強く支持している
② クリントンに傾いている
③ 決めかねている
④ トランプに傾いている
⑤ トランプを強く支持している

 2012年米大統領選挙では、オバマ陣営は、①オバマを強く支持している、②オバマに傾いている、③決めかねている、④ロムニーに傾いている、⑤ロムニーを強く支持している、⑥第3党を支持している、⑦投票に出向かない、の7段階評価を使用していました。今後、リバタリアンや緑の党に対する支持率が上がると、クリントン陣営も7段階評価を導入する必要が出てきます。

コミットメントカード

 英語のコミットメントには、「約束」「同意」及び「関与」という意味があります。12年米大統領選挙で、オバマ陣営が投票率を高めるために導入したのがコミットメントカードです。16年民主党候補指名争いにおいて、クリントン陣営は中西部アイオワ州並びに東部ニューハンプシャー州でコミットメントカードを活用していました。本選においても、南部バージニア州で使用しています。本選のコミットメントカードには、民主党全国大会でクリントン候補が呼びかけた「一緒になればもっと強くなれる」の「一緒に」が印刷されています。

 戸別訪問のトレーニングで、有給のスタッフ及びボランティアのリーダーから署名入りのコミットメントカードを回収するように指示が出ています。まず「クリントンを強く支持している」と回答した有権者には、コミットメントカードに名前、住所、携帯番号及びメールアドレスを記入してもらいます。次に、ボランティアを希望するのか、メールを通じて定期的に情報を得たいのか、フェイスブックで近隣のクリントン支持者と交流を深めたいのか、質問をします。

関連記事

新着記事

»もっと見る