――平日の昼間に喫茶店に行くと、確かに高齢の方々が暇そうにしている姿を見かけます。
田中:朝から同じ新聞をずっと読んだり、中には1週間前の新聞を読み返している人までいる。つくづく暇なんだなと。そういう人たちは、仕事を中心に一生懸命働くべきだと言われてそうしただけで、その結果がそうした状況ならあまりにもひどいと思いますね。
だからこそ現役の最中から仕事と適切な距離を取るなど備えておく必要があります。
――他にも現役中からできる準備はありますか?
田中:以前、コラムニストのジェーン・スーさんとの対談の中で、彼女は計画を立てないでいきなり有給を取ってみるとことをすすめていました。そうすると、多くの人はやりたことも、行きたいところも、会える人もいないことに気がつくと思います。
また、副業もお勧めです。働いている会社では評価が芳しくなくても、副業の会社では高評価を得ることがあるかもしれません。副業を禁止している会社も多いので、それをクリア出来れば、ですね。
他には友達を作る。働いていると周りには同業者ばかりで、どんどん視野が狭くなりますから、別の角度の見方が出来る友達が良いですね。例えば、結婚していて子供がいる方は、保育園や幼稚園のパパ友。そうなると必然的に仕事も年齢もバラバラになりますし、地元に友達も出来ます。地元ならば、学生時代の友人のように住んでいる場所もバラバラではないので、割と気楽に食事に行けます。
――長時間労働でフルタイムで働く「普通の生き方」や結婚するしないを始め、田中先生は多様な生き方の必要性を指摘されていると思います。海外に目を向けるとどうでしょうか?
田中:日本も現実には多様化しているんです。ただ、僕らのイメージが追いついていない。例えば、最近ではセクシャルマイノリティが認められつつありますし、男は仕事、女は家庭というのも通用しなくなってきている。現実には人種もセクシャリティも多様性が表面に出てきているのに、僕らの常識が変化についていけていない。しかし、外国人や同性愛者に反発が出たりと、今は過渡期なんだと思います。これが多様性を認める方向へ行くのかどうかわかりませんが、僕は人に敬意を払われたいし、他人にも払いたい。お互いに認め合って、大切に扱う方向に進んでくれれば嬉しいですね。
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