世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2016年8月30日

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精いっぱいの努力

 先般の仲裁裁判の判決が中国外交にとって大きな痛手であったことは疑いありません。中国は懸命な外交努力の結果、7月25日に発表されたASEAN外相会議の共同声明では、この判決に直接言及することを阻止することに成功しました。中国としては失点挽回のために精いっぱいの努力をしたということでしょう。

 しかし、判決が最終的なものであることに変わりはありません。今後、中国が埋め立てや人工島の造成・軍事化を進めれば、国際的批判が更に高まることは確実です。中国は9月に杭州市で開催される予定のG20首脳会議を控え、当面は南シナ海における過激な行動を控える可能性もあります。

 7月25日の人民日報は、ライス米大統領補佐官と会談した習近平主席が笑顔で握手を交わす模様を大きく報じ、同主席が「中国は国際秩序に挑戦する意図はない」と述べ、南シナ海については「互いの核心的利益を尊重すべきだ」と述べた、と報じています。

 なお、インドネシア、マレーシア、フィリピンがスールー海、セレベス海で共同パトロールを実施するとの構想は、実現できれば極めて有益でしょう。中国の南シナ海における高圧的行動を声高に非難するだけでなく、沿岸国が自らの海洋管理能力を高めることが不可欠だからです。
 

  
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