かといって「運動をしない代わりに、食べる物を減らす」という、ヒトの本能に抗う生活習慣はまったく楽しくない(ので、長続きしない)。やはり「適度に運動をして、適度に飲食する」という、言い古された基本に戻らざるを得ないのだ。
ということで「適度な運動」とはどういうものなのかをご紹介する。
有酸素運動を細切れでもなるべく長く続ける
消費カロリーは基礎代謝【※1】によるカロリー量と運動によるカロリー量に大別できる。実際には、基礎代謝で消費するカロリーのほうが運動で消費するカロリーよりも大きいことが多い。そこで「基礎代謝を増やそう」というダイエット法が喧伝される。たしかにそうなのだが、基礎代謝というのは量的には大きいのだが「変える」ことが非常に困難なのだ。そのため、このダイエット法に挑戦する人はだいたい挫折する。
ここでは主として運動カロリーについて解説する。運動は有酸素運動と無酸素運動に大別できる。有酸素運動というのは、楽に呼吸をしながら(隣の人と会話をしながら、ともいえる)続けることができる運動。ジョギング、サイクリング、スイミング、ウォーキングなどが代表的。無酸素運動というのは、短距離走、筋力トレーニングなど(一時的に)呼吸をせずに行なう運動のこと(もちろん、息を止めてしまっては死んでしまうので、運動の前後や途中で呼吸はする)。
結果的に、長時間続けられるのが有酸素運動で、短時間しかできないのが無酸素運動ということになる。トータルのカロリー消費量は、長時間運動したケースのほうが大きくなるので、消費カロリーを増やしてやせよう(あるいは太らないようにしよう)と思う人は、有酸素運動を習慣づけることが大事になる。
かつては「有酸素運動を30分以上継続すると体脂肪が燃え始める」といわれていたが、現在では「細切れであっても合計の運動時間が長ければ消費カロリーが増える」という説のほうが有力だ。続けて60分ジョギングしても、10分のジョギングを6回やっても減量効果はほとんど同じ、ということのようだ。ビジネスパーソンにとっては後者のほうがやりやすいのではなかろうか。
運動の強度は強いほうが消費カロリーも大きい。同じ時間であれば、ウォーキングよりはジョギングのほうが消費カロリーは大きい。ただし、ダイエットのためということであれば(つまり肥満者にとっては)ジョギングは「強すぎる」という指摘も出てきた。ウォーキングのほうがとっつきやすいし継続もしやすいので、ジョギングよりはウォーキングをお勧めする。同じ理由で、水泳よりもプールで水中をゆっくり歩くという方法をお勧めする。何よりも「自分が継続できる有酸素運動」が一番である。
【※1】基礎代謝
体温を保ったり心臓や肺や脳などの臓器を動かしたりなど、生命を維持するために必要なエネルギー。日本人の場合、成人女性で平均1200キロカロリー、成人男性で平均1500キロカロリー程度だと考えられている。