やはりハイライトはパープル・レイン・ルーム
内装にアーチ状のレイアウトを効果的に取り入れたペイズリー・パークは、ロサンゼルスの建築家、ブレット・ソーニーが設計した建造物で、総工費は1980年代中期で15億円に及び、完成までに3年の歳月を費やしている。各部屋は「グラフィティ・ブリッジ」や「パープル・レイン」など、プリンスのアルバム・タイトルが各部屋のテーマとして設定されており、ハイライトはやはりパープル・レイン・ルームである。
スクリーンに登場したパープルのモーターサイクル、のちにトレードマークとなる白いクラウド・ギター、数々のコスチューム、アカデミー賞、グラミー賞という映画と音楽がともに獲得したオスカー、そして台本など、『パープル・レイン』関連のメモラビリアが並ぶ。続くサウンド・ステージには紫色のピアノ(ヤマハ製)がセットされており、このピアノをプレイした今年1月のステージが、プリンス最後のペイズリー・パークでのパフォーマンスとなった。膨大な数があるという未発表音源が保管されている地下のストレージ、本人のゴージャスな住居だった2階は未公開である。ペイズリー・パーク・ツアーの料金だが、通常料金は$38,50(70分)、VIPツアーは$100(100分)、VIPツアーは見学できる部屋やスタジオの数などが多くなっている。
プリンスのミネアポリスゆかりの地
ジェームス・ブラウンやスライ・ストーンなどに大きな影響を受けたプリンスは、彼らのファンク・スピリットにあらゆるジャンルの音楽を自在に取り込み、ミネアポリス・サウンドと呼ばれる音楽を生み出す。このムーブメントの中心的アベニューとなったのが、ミネアポリス・ダウンタウンの中心にある「ファースト・アベニュー」というナイトクラブである。映画『パープル・レイン』の演奏シーンなど多くのシーンがここで撮影された。制作会社はファースト・アベニューに10万ドルを支払い、クラブを25日間クローズして『パープル・レイン』の撮影を行ったのだ。
ミネアポリス観光局ではプリンスの足跡を訪ねる「Prince’s Minneapolis」というツアーを正式にアナウンスしており、ペイズリー・パークとファースト・アベニューはこのトレイルのハイライトとなっている。10月13日にはミネアポリスに隣接するセント・ポールにあるエクセル・エナジー・センターにて、スティーヴィー・ワンダー、クリスティーナ・アギレラ、チャカ・カーン、ジョン・メイヤーなど数多くのスーパースターたちが出演してプリンス追悼コンサートが行われた。
ミネアポリスにはデルタ航空が直航便を就航させており、10月30日には羽田を昼間の時間帯に出発するミネアポリス便がスタートする。ミネアポリス/セント・ポール国際空港は、デルタ航空の米中西部のハブ空港として、中西部の各都市をはじめ、東海岸や南部の都市を結ぶ交通の要所となっている。羽田-ミネアポリス便を利用すると、ミネアポリスから先、北米110都市に乗り継ぎが可能である。ミネアポリスでプリンス・トレイルを満喫したら、ナッシュビルでカントリー・ミュージックの真髄を楽しみ、メンフィスではエルヴィス・プレスリーのグレイスランドやサン・レコードなどのロックンロールゆかりの地を訪ねる。そんな旅もスムーズに実現可能である。
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「Prince’s Paisley Park」
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