2024年12月22日(日)

進化する「食」

2016年11月10日

朝は太陽の光を浴びて体内時計をリセット

 今回は、「時間栄養学」という最近話題の栄養学をもとに、ダイエットについてお話します。時間栄養学は、従来のように、食べたもののエネルギーや栄養素だけではなく、体にもともと備わっているリズムに視点を当て、食べる時間や組み合わせを意識することでより栄養効果を高め、健康維持に役立てるための新しい学問です。

 私たちの体は約24.5時間周期でリズムを刻み、体内環境を変化させています。これをサーカディアンリズム(概日リズム)といいます。このリズムを作っているのは「体内時計」といわれるものです。意識しなくても、日中は活発に動き、夜になると眠くなるのは、この体内時計の働きのためです。

 ところが、体内時計の周期は1日の長さである24時間より少し長いため、そのままでは少しずつずれてしまいます。体内時計の乱れは、生理機能を低下させ、肥満、生活習慣病、がん、肌荒れなどさまざまな症状を引き起こしやすくすることがわかっています。

 そこで、毎日これをリセットする必要があります。ここで調整役となるのが太陽の光です。体内時計は脳の視交叉上核(しこうさじょうかく)という部位にあります。太陽の光を浴びると、その刺激が目から脳の視交叉上核に直接伝わり、朝になったことを認識して、脳のほかの部分や胃や腸、肝臓など、全身の組織に存在する時計遺伝子に対して時計をリセットするよう指示を出します。つまり、脳の主時計がリセットされることで、末梢の時計遺伝子もそれに合わせてリセットされることになります。

 毎日同じ時間に起きてパッと窓のカーテンをあけ、朝の光を浴びて伸びをしてみる。まるでテレビのコマーシャルのようですが、意外にこれは健康作りの基本中の基本といえるのです。

代謝をよくする理想的な朝食は糖質とたんぱく質

 太陽の光とともに重要なのが朝食です。朝食をとると、前述のように胃や腸などさまざまな臓器に備わっている時計遺伝子が動き出します。すると、体が活動モードにスイッチを切り替え、体温が上昇し、学習能力や運動能力、やる気の向上につながります。

 逆に朝食を抜いたり、休みの日にブランチのような形で遅い時間に朝食をとったりすると、1日のリズムが後ろにずれてしまい、脂肪合成に関わる酵素などの分泌のリズムが失われ、体に脂肪が蓄積されやすくなってしまうのです。現に、朝食の摂取頻度が少ない人ほど肥満になりやすい傾向があることが報告されています。

 朝食は大事だとわかってはいても、時間をかけていられないのがビジネスパーソンの悩みです。朝食はパンやおにぎりといった糖質(炭水化物)だけですませている人が多いのではないでしょうか。しかし、体内時計をリセットするにはそれだけでは不十分です。いろいろな栄養素をバランスよくとれればよいのですが、まずは糖質とたんぱく質を揃えることから始めてみてください。

 和食ならごはんに納豆や卵、洋食ならトーストにハムとチーズをのせたりゆで卵を組み合わせたりするとよいでしょう。また、牛乳、ヨーグルト、チーズなどもたんぱく質を手軽にとることができますので買い置きしておくと便利です。

 それがクリアできたら、野菜ジュースや野菜スープを添えたり、旬の果物をプラスしたりすれば忙しい朝でも、代謝をよくする理想的な朝食を整えることができるはずです。


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