■今回の一冊■
GAME CHANGE
筆者John Heileman & Mark Halperin, 出版社HARPER, $27.99
1月下旬から7週連続でベストセラーリストのトップを独走した、2008年の大統領選の舞台裏を暴くノンフィクションだ。ニューヨーク・タイムズ紙の最新のランキング(ウエブ版3月12日付)でも単行本ノンフィクション部門3位につけている。
大統領選を闘う候補者たちの私生活の秘密など、ゴシップ誌も顔負けの裏話が本書には満載だ。例えば、いつも沈着冷静なオバマ大統領については、うぬぼれやの性格を次のように鋭く描く。
うぬぼれや オバマ
He could come across as cocky, that was for sure―and not just to people outside his circle. He was smarter than the average bear, not to mention the average politicians, and he not only knew it but wanted to make sure that everyone else knew it, too. In meetings with his aides, he exerted control over the conversation by interrupting whoever was talking. “Look,” he would say―it was his favorite interjection, almost a tic―and then be off to the races, reframing the point, extending it, claiming ownership of it. “Whose idea was that?” was another of his favorites, employed with cheery boastfulness whenever something he’d previously proposed had come up roses. (p25)
「オバマは自信過剰にみられかねなかった。確かに、自信過剰なのだが、自分の取り巻き連中にとっても自信過剰にみえた。並の政治家よりも賢いことは言うまでも無く、世間並みの人よりも賢い。自分の賢明さを自覚しているだけでなく、まわりのみんなも賢さをちゃんと分かることを望んでいる。自分の取り巻きとの会議でも、話しているのが誰であろうと話の途中に割って入ることで、話を仕切る。“ちょっと”と言いながら、オバマは割ってはいる。オバマのお気に入りの言葉だ。ほとんど無意識に出る癖だ。論点を再構成・拡張し、我が物顔でまくしたてる。“それはだれのアイデアだっけ?”も、オバマのお気に入りの口癖のひとつだ。自分が以前に提案したことが思った以上にうまくいったときにはいつも、上機嫌で自慢げにそう言うのだ」
2005年に上院議員に初当選したオバマは、メディアでも好意的に取り上げられ人気は急上昇。ヒラリー・クリントンのアシスタントが当時、オバマとすれ違ったときに、「雑誌の表紙の写真みました。いい写真でしたよ」と話しかけると、オバマは「どの雑誌ですか」と答えたエピソードも振るっている。そんなオバマも、大統領選に立候補することを決意するまでには、さまざまな葛藤があったことを本書は明かす。特に、ミシェル夫人が家庭生活への影響などを心配しオバマも頭を悩ませたという。