観光の中心地であるので宿屋も多数あるが2時間近く探索した結果ドミトリー形式の安宿は“少なくともバレッタ市内には存在しない”という結論に達した。屋根裏部屋のようなお一人様(シングル)部屋でも“最低38ユーロ”とホステルのオーナーのお婆が勝ち誇ったように宣言するので初日から野営を選択。
まだ5時過ぎであり夜8時ころまでトワイライト・タイムである。時間がたっぷりあるのでスーパーで食料、ワイン、ビールなどを買い込んでグランド・ハーバーを見渡す高台にある“アッパー・バラッカ・ガーデン”にゆく。中世に建設された砲台であり日没が近づくと砲台全体がライトアップされ空中庭園で遊んでいるような優雅な雰囲気である。
古典的な彫刻が施された頑丈な木製のベンチでビールをやりながら夕陽を浴びて輝くバレッタの市街地やグランド・ハーバーを眺めていると中世の聖ヨハネ騎士団の団長のような気分になってくる。
優雅に母娘旅を楽しむ日本人
空中庭園は夕陽の絶景ポイントなので多数の観光客がそぞろ歩きを楽しんでいる。日本人の母娘とおぼしき二人が歩いてきたので会釈するとベンチの隣に腰かけて挨拶した。OLをしている娘さんの夏休みを利用して広島から母娘二人でマルタ一周の旅行に来たという。旦那は日本でお留守番。二人とも海外旅行が大好きで、最近は年に一回母娘で旅行している。今回も娘さんが飛行機やホテルをすべて手配したとお母さんはすこし自慢げに説明。
この母娘の話を聞いていて1年半前の2014年5月のサントリーニ島を思い出した。サントリーニでは数組の母娘旅に出会ったが、埼玉出身の母娘は特に印象的であった。優雅なリゾートっぽいファッションに身を包み、つばひろの帽子に洒落たサングラス。そして上品な立ち振る舞い。遠目には姉妹のようだ。娘さんは30台半ばであろうか。流暢な英語を話すので聞くとカナダへ留学経験があり現在は国際会議のコーディネーターをしているとのこと。