「企業の発展のためには多様性(ダイバーシティー)が必要」。資生堂の魚谷雅彦社長やカルビーの松本晃会長は、公の場でダイバーシティーの重要性を強く主張する。その理由は、両社の商品を購入する決定権を女性が持つことが多いからかもしれない。
しかし、それだけではないだろう。2人ともこれまでグローバル企業の経営を担ってきた中で、いかにダイバーシティーが重要で、それが様々な恩恵を企業にもたらすことも理解しているに違いない。
企業活動を続けていくには、常に顧客の期待値を超えるアウトプットを出していかなければならない。ともすれば日本企業は技術開発や商品開発にばかり目を向け、それを極めようとしがちだ。
しかし、技術をいかに磨いても、本当の顧客の声や様々な発想を取り入れることは難しく、新たなサービスや商品は生まれない。顧客が真に気に入って使ってくれた商品やサービスこそ革新的なものに進化する。それは一種の文化創造であり、できる限り、多くの人々の考え方を理解しておくことが必要になる。企業はダイバーシティーを持たなければ自らビジネスチャンスを減らしてしまう。