2024年7月14日(日)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2016年11月21日

 この論説は核兵器の先制不使用提案、ICBM撤廃提案について常識的な反対論を述べたものです。この反対論には賛成できます。

 欧州においては戦後、ソ連赤軍は通常戦力において優位にあり、NATOは柔軟反応戦略、すなわち核兵器使用に踏み切る時期を柔軟にしておくことで、ソ連軍の攻撃を抑止するのを基本戦略としていました。その時に核の先制使用をやめると宣言するなどあり得ないことでした。しかしソ連崩壊後、通常戦力面でもNATOが優位になり、欧州正面での柔軟反応戦略の必要性はなくなったと言ってよいでしょう。

ほのめかし作戦

 しかし、核以外の大量破壊兵器である化学兵器、生物兵器の使用を抑止する必要があり、そのためには核で報復するとの脅しが有効です。第一次湾岸戦争の開始前に、米国国務長官ジム・ベーカーはイラクのアジズ副首相に、「化学兵器攻撃はするな、我々にはそれに復讐をする手段がある」と核兵器使用をほのめかしたことがあります。この戦争のころ、イラクはイスラエルにスカッド・ミサイルを撃ちこみました。化学弾頭は当時イラクにあったが、使われませんでした。北朝鮮は核兵器のほかに、化学兵器、生物兵器を保有しています。北の化学兵器、生物兵器の使用を抑止する必要があります。

 オバマが核兵器のない世界という目標に近づきたいということで、任期の末期にNFUを打ち出すなどは、あまり感心したことではありません。ICBM撤廃もそうです。こういう政策転換はじっくりと考えたうえで、同盟国とも協議したうえで行うべきでしょう。

 オバマ政権はこのNFUの話を既に諦めたのかとも思われましたが、この記事が10月14日付で出たことからすると、まだオバマまたはその取り巻きが固執している可能性があります。オバマは包括的核実験禁止条約が上院で通らないので、安保理決議で核実験を禁止することを狙いました。このための決議は採択済です。オバマはそれで満足すべきでしょう。ICBM撤廃については、抑止力の維持のためにも、今後の核軍縮の際の交渉材料のためにも、一方的には決してすべきではないでしょう。

  
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