Wedge REPORT

2016年11月28日

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ヒロ・マスダ (ひろ・ますだ)

映画プロデューサー

合同会社Ichigo Ichie Films代表。アメリカ、ドイツ、フランスとの様々な国際共同製作の企画に携わり、現在アメリカ児童文学クリス・カーツ著『The Pup Who Cried Wolf』の映画化権を取得し、長編CGアニメ映画『Lobo』を製作中。

 しかし、映画の専門性に基づく客観的な外部評価を基準にする場合、ANEWの「ハリウッド映画化」の発表は映画製作成立の根拠には値しない。「ハリウッド映画」の定義とは、厳密にはビッグ6と呼ばれるユニバーサル、ウォルト・ディズニー・カンパニー、ワーナー・ブラザース、20世紀FOX、ソニー・ピクチャーズ・エンタテインメント、パラマウントのハリウッドメジャースタジオ製作の映画を意味する。

 これらの映画会社には製作費に充てる資本があり、映画を適切な形で売り出すための事前のマーケティングプラン、世界に売るための配給網、また投資を一定の期限内で回収するために2、3年先の公開日も決定している。

 一方、ANEWが自社リリースで発表する「ハリウッド映画化」はこれと似て非なるものである。「日本IPでこんな映画企画開発をやります」という自社発表は、原作の映画化権を持つ者なら誰もが発表できるものであり、投資家に対して実際に映画が作られる保証をするものではない。

 しかし、経産省の内部評価基準では、「順調な経営」と評価し、設立から3年で公金投資の回収ができると勘違いしている。こうした経産省の「虚偽的」な経営報告の答弁もあってか、ANEWは14年11月28日に資本金及び資本準備金合わせ11億円の追加投資を受けている。すでにそのほとんどが非効率な映画企画開発を行う赤字経営によって消えている。

 ANEWの企業理念は「グローバルモデルによるイノベーションによりニッポンのエンタテインメントが生まれ変わる」だ。経産省もANEWの「社会的ニーズへの対応」「大きな成長と公的資金投資回収の高い蓋然性」「新しいビジネスモデルを確立する革新性」を認め推進した。

映画産業で存在感高める中国

 しかし、映画産業で日本を豊かにしたいのであれば、世界のエンタテイメント資本、投資家、映画産業プロに作用する客観的な評価を基準に考えなければならない。主観的な理念など、評価に値しないものである。

iStock

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